「信頼性や標準化が依然としてESG(環境、社会、ガバナンス)投資における課題だとわかった」。ブルームバーグは10月26日に発表した「ESG投資における潮流と課題」をテーマとする調査結果について、このように総括。「ESG投資導入は国連責任投資原則(PRI)の策定以来14年の時を経ており、信頼のおけるデータや分析の入手方法や標準化を課題としている点は深刻に受け止めている」と、コメントしている。
調査は、ブルームバーグが機関投資家(バイサイド)を対象に2007年から世界各地で開催する「ブルームバーグ・バイサイド・フォーラム」の東京プログラム2020(9月10日、11日開催)に併せて実施。小泉進次郎環境大臣を特別ゲストに、資産運用業界のリーダーたちの講演とパネルディスカッションを交え、バイサイドが直面する課題と未来について、多角的な視点から考察を深めた。
「ESG投資に取り組むモチベーション」を問う質問に対し、回答者の約45%が「長期リターンの追求が理由」と答えた。ESG投資を行う動機が、リスク管理などから移行している様子が伺えた。次に、「ESG投資に伴う課題」という問いに対し、回答者の約59%が「標準化された信頼性のあるデータへのアクセス」、約51%が「分析スキルの取得」、約48%が「投資フレームワーク・基準の構築」を課題に挙げた。
その他の結果として、「現在取り入れているESG投資手法」に関しては「ESGインテグレーション」が最多(約60%)、次に「エンゲージメント・議決権行使」(約51%)が続いた。結果について、ブルームバーグは「サステイナブル投資推進に取り組む国際団体GSIA(グローバル・サステイナブル・インベストメント・アライアンス)の2018年度の調査結果とは異なり、GSIAの調査では、日本における最大の投資戦略は企業のエンゲージメント・議決権行使が最も取り入れられている」と見る。
ブルームバーグ在日代表の石橋邦裕氏は、結果について「ESG投資導入は2006年のPRI策定以来14年の時を経ており、信頼のおけるデータや分析の入手方法や標準化を課題としている点は早急に解決すべきと深刻に受け止めている。当社は『情報へのアクセスにより世界の資本市場に透明性をもたらす』という信念に基づき、ESGスコアの開発に取り組み、気候変動の金融への影響の理解を促すためTCFG(気候関連財務情報開示タスクフォース)にも参画している。今後より一層、ESG投資の浸透に貢献、投資家の皆様のために尽力する」と述べている。
同フォーラムは、オンラインで日本とアジア太平洋地域を中心に世界11カ国に日英2カ国語で配信し、700名以上のバイサイドフェッショナルがライブやオンデマンドで視聴した。小泉進次郎環境大臣を特別ゲストに、資産運用業界のリーダーたちの講演とパネルディスカッションを交え、バイサイドが直面する課題と未来について、多角的な視点から考察を深めた。「ポスト/ウイズ・コロナ」の時代における資産運用のあり方、ESG投資、テクノロジーやデータ活用など、イベントリポートは下記からダウンロードできる。
【関連ページ】「ブルームバーグ・バイサイド・フォーラム」イベントリポート
【関連サイト】ブルームバーグ
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