米国で最大の株式オプション取引所であるCBOE(シカゴオプション取引所)のエド・ティリーCEOは、ウォール街の投資家を引きつけるにはビットコインETNが必要との見解を示した。コインテレグラフをはじめ、各メディアが1月18日付で報じている。
ビットコインの成長を阻害する要因として、ティリー氏はビットコインのトレード商品が少ないことを挙げている。仮想通貨「復調」のために参入が待たれる機関投資家は、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の運用をする義務)を負うため、保守的な資産運用を行わざるをえない。そのため、機関投資家の参入には、先物やスワップなどのデリバティブの整備が必要不可欠だ。
同氏は、健全な市場発展の鍵となるビットコイン先物市場が拡大しない理由として、ビットコインETNがないことが原因だと言及している。また、個人投資家が取引できるビットコインに紐づけられた証券がないことも、ビットコイン先物市場の成長を妨げる要因になっていると指摘した。こう指摘した上でティリー氏は、米国でのビットコインETNを導入するにはSEC(米国証券取引委員会)が今までビットコインETFの申請を拒否してきた理由を解決する必要があるとしている。
SECがビットコインETFの承認を却下・先延ばしにし続ける背景には、ビットコインの価格が不正操作されている可能性があることや利用者保護を徹底できないことがある。ティリー氏は、SECの疑念を払拭することができた後にビットコインETNが生まれるだろうと述べた。
ETN(Exchange Traded Note:上場投資証券、指標連動証券)は、ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)と同様に、商品価格や指数などに連動する金融商品だ。ビットコインETFは、ビットコイン価格への連動を目指して、アセットマネジメント会社が実際にビットコインを組み入れる投資信託だ。これに対し、ビットコインETNは信用力の高い金融機関がビットコイン価格への連動を保証する債券で、両者の大きな違いは裏付け資産となるビットコイン保有の有無にある。
米国では足踏みしているビットコインETNだが、2018年8月からはスウェーデンのストックホルム取引所にて、ドル建てで購入することが可能となっている。当時広く報道されたビットコインETNだが、ティリー氏の考えとは裏腹に市場への影響は軽微で、残念ながら機関投資家はもちろん個人投資家参入の呼び水ともならなかった。ETFの代替オプションとして期待されたETNも、ETFと同様、最終的に規制という土台作りなしにはワークしないのかもしれない。価格の不正操作疑惑が後を絶たない仮想通貨市場では、規制が適切に敷かれていくことが今後の市場の発展と成長に不可欠だ。
【関連記事】スウェーデンでビットコインのETN(指標連動証券)が上場
【参照記事】仮想通貨ビットコイン成長の妨げは「ETNの欠如」=CBOEのCEO
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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