バイデン政権は、低所得者や恵まれない地域に焦点を当てた気候変動およびクリーンエネルギープロジェクトに資金を提供する全米規模の金融ネットワークを立ち上げるため、200億ドル(約3兆円)を拠出する(*1)。「米国への投資(Investing in America)」アジェンダの一環として、クリーンエネルギーと気候ソリューションへのアクセスを拡大し、エネルギーコストの削減を目指す。
歴史的経緯から見て社会の発展から取り残され、公害によって過度の負担を強いられているコミュニティにおける、数万もの気候変動・クリーンエネルギープロジェクトに資金を提供する初の全米ネットワークを構築する。
インフレ抑制法(IRA)で創設され、環境保護庁(EPA)が管轄する温室効果ガス削減基金(GGRF)より拠出する。有害な気候汚染物質を削減して大気の質を改善し、エネルギーコストを下げ、高賃金の雇用創出を目指す。
この歴史的な投資を通じ、クリーンエネルギー主体の分散型電源や蓄電、住宅や中小企業のネット・ゼロのレトロフィット(#1)、ゼロ・エミッション輸送など、幅広いクリーンエネルギープロジェクトを支援する。
助成対象に選定された組織は、今後7年間で年間4,000万トンの炭素汚染を削減または回避することを約束し、バイデン政権の気候変動目標の達成に貢献する。さらに、連邦政府の資金1ドルにつき民間資本約7ドル(総額約1500億ドル)を動員する計画である。
特に、十分なサービスを受けていないコミュニティにおいて、大規模な気候変動およびクリーンエネルギー技術の展開を促し、継続的な効果をもたらすと見られている。
温室効果ガス削減プログラムは、バイデン政権が環境正義を推進する「ジャスティス40イニシアティブ(Justice 40 Initiative)」を推進するものだ。連邦政府の気候変動、クリーンエネルギー、その他の投資によるベネフィットの40%を、投資不足で疎外され、公害で過度の負担を強いられる不利な立場のコミュニティに提供するという目標を掲げている。
4日に発表された140億ドルを超える資金の少なくとも70%は、低所得者や不利な立場にあるコミュニティに投資される。これには、100年以上にわたって我が国に電力を供給してきた歴史的な背景を持つエネルギーコミュニティ、有色人種コミュニティ、低所得者コミュニティ、農村コミュニティ、部族コミュニティなどが含まれる。
(#1)レトロフィット…建物の施工後における目的に応じた修繕。
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