米アマゾン・ドット・コム(ティッカーシンボル:AMZN)は4月20日、新たに37件の再生可能エネルギー関連のプロジェクトを追加したと発表した(*1)。これらのプロジェクトに投資することで、同社の再生可能エネルギーの発電容量は約30%増加し、12.2ギガワット(GW)から15.7GWとなる。当初の2030年から5年前倒しの25年までに、すべての事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーでまかなうという目標の達成に向けて大きく前進する見込みだ。
アマゾンが投資する再生可能エネルギープロジェクトは、世界19か国にまたがる310件まで拡大している。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は「この地球を守り、環境への負荷をおさえるという我々のコミットメントによって、当社は20年と21年に世界最大の再生可能エネルギーの調達企業になった」と述べた(*1)。またジャシーCEOは、25年までにすべての事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーでまかなうという目標の達成に向けて尽力する方針を示している。
今回発表された37件の新規プロジェクトは、日本をはじめ、米国、スペイン、フランス、オーストラリア、カナダ、インド、アラブ首長国連邦(UAE)で進められる。プロジェクトの種類と規模はさまざまで、風力発電が3件、太陽光発電が26件、そして屋上太陽光発電が8件となる。これらのプロジェクトが加わることで、アマゾンの再生可能エネルギープロジェクトの件数は、風力発電と太陽光発電が134件、屋上太陽光発電が176件の合計310件に増加する。
この310件のプロジェクトが稼働すると、合計で年間4万2,000ギガワット時(GWh)の発電量が見込まれる。これは毎年、米国の390万世帯に電力を供給するのに十分な量だという。これらのプロジェクトにより生み出されるカーボンフリーのエネルギーは、米国内で毎年370万台以上の自動車から排出される炭素量に相当する、年間1,730万トンの炭素排出を削減する見込みだ。
アマゾンはエネルギーの貯蔵に対する投資も引き続き行う。エネルギー貯蔵システムに投資することで、太陽光エネルギーが利用できない夜間や電力需要の高い時間帯に対応できるようになる。今回発表した新プロジェクトには、150 メガワット(MW)のバッテリーストレージを組み合わせたアリゾナ州での300MWの太陽光プロジェクトと、75 MWのバッテリーストレージを組み合わせたカリフォルニア州での150 MWの太陽光プロジェクトが含まれる。2つのプロジェクトを合わせると、エネルギー貯蔵を組み合わせた太陽光発電の総量は倍増し、220 MWから445 MWになるとのことだ。
アマゾンは気候変動対策を積極的に推進する。19年には、パリ協定の目標より10年早くネット・ゼロカーボンを達成することにコミットする「気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)」を共同で立ち上げた。これまでにマイクロソフト(MSFT)やビザ(V)、シーメンス(SIE)といった300社以上の企業が署名している。
また、アマゾンはすべての配送でネット・ゼロカーボンの達成を目指している。その目標の実現に向け、30年までにすべての配送のうち50%を脱炭素化するシップメント・ゼロ(Shipment Zero)に取り組んでいるほか、電気配送車としては過去最大の発注となる10万台を購入している。
アマゾンが25年までに100%再生可能エネルギー化を達成するために繰り出す多種多様なアクションに今後も注目したい。
【参照記事】*1 アマゾン「Amazon Extends Position as the World’s Largest Corporate Buyer of Renewable Energy」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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