英スーパーマーケット大手のテスコ(ティッカーシンボル:TSCO)は4月7日、従業員の給与とベネフィット(福利厚生など給与以外の便益)、スキルに多額の投資を行うことで英小売流通関連労働組合USDAWと合意したと発表した(*1)。
テスコはUSDAWとの交渉の末、基本給の大幅な増額と従業員割引の拡大、スキルアップのための研修の実施などを行うことを決定した。主な変更点は以下の通りとなる。
時間給の店舗とカスタマー・フルフィルメント・センター(物流配送拠点)に勤務する従業員を対象に、時給を5.8%引き上げ、9.55ポンド(約1,500円)から10.10ポンドにする。テスコによると、時間給制を敷く店舗とCFCの従業員を対象とする単年の投資としては、過去10年で最大の金額となるという。また、直近10年間で時給は40%超増加しているとのことだ。
カスタマー・デリバリー・ドライバーとクリック・コレクト・デリバリー・アシスタント業務に従事する従業員に関しては、職能給を引き上げる。経済環境に不透明感が漂っていることを考慮し、賃金の改定は1年単位とし、23年にUSDAWと見直しを行う方針である。
また、すべての従業員を対象にテスコのポイントカードClubcardの割引を500ポンド増額する。これにより、年間の割引合計額は1,500ポンドになる。従業員の家族にも10%割引を適用するほか、週末が給料日となる際には割引率を15%に拡大する。
従業員からのフィードバックをもとに、新たに従業員を採用する前に、週16時間未満の雇用契約となる従業員へ空き時間を必ず提供する。すべての新規雇用契約は週16時間以上を基本とする。
さらに、従業員が学びや能力開発の機会の拡大を望んでいることを踏まえ、新たなオンラインプラットフォームを立ち上げる。このプラットフォームを通じ、従業員はスケジュールの確認や研修・能力開発プログラムへの参加、時間外労働の申請を行うことができる。
テスコ英国・アイルランド(ROI)のジェイソン・タリー最高経営責任者(CEO)は、すべての人にとって働きがいがあり、小売業界で最高の人材を惹きつけ維持する企業となることを目指すなか、これらの従業員への投資はその目標を達成するうえで中核となるものだと述べた(*1)。
ESG経営が必要とされるなか、従業員のベネフィット拡大の先駆けとなる取り組みだろう。他の企業がどのような動きを見せるか注目したい。
【参照記事】*1 テスコ「Tesco makes significant investment in colleague pay, benefits and skills」
![](https://hedge.guide/wp-content/uploads/2018/07/image_409540834-_sq-150x150.jpg)
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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