米ゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)傘下のGEリニューアブルエナジーは4月21日、風力発電の風車タワーの巨大基部をコンクリートで3Dプリントするための新たな研究開発施設を開設したと発表した(*1)。世界的に風車タワーの高高度化が進むなか、3Dプリンティング技術を活用することで、風力発電施設での輸送コストの低下や雇用の創出をはかる。
ダニエル・マーフェルド最高技術責任者(CTO)は、研究を通じてイノベーションを発揮することで、現代の風力発電所の巨大なコンポーネントを設計、製造、輸送、建設する方法の継続的な改善につなげられると述べた(*1)。
新施設はニューヨーク州ベルゲンに開設。デンマークの建設用3Dプリンターメーカーであるコボド、およびスイスのセメント最大手ホルシム(HOLN)と協業する。両社とは2020年に複数年にわたるパートナーシップを締結している。
GEによると、ベルゲンで活用する3Dプリンターは、高さ20メートルのコンクリート製基礎を3Dプリントできるという。コボドの創業者兼ゼネラルマネージャーを務めるヘンリック・ルンド・ニールセン氏は、同3Dプリンターは世界最大級であり、1時間当たり10トン以上のコンクリートを3Dプリントすることが可能だと述べた(*1)。
近年、風力発電業界では経済効率性を追求すべく、巨大な風車(風力タービン)の開発が進められている。たとえば、風力発電機世界最大手のヴェスタス(VWS)は、風を受けとめる大きな羽(ブレード)を組み合わせたロータの直径が236メートルある、出力15メガワット級の発電タービンを投入する。また、競合のシーメンスガメサ・リニューアブルエナジー(SGRE)はロータの直径が222メートルある発電タービンを発表済みだ。そのようななか、GEリニューアブルエナジーは3Dプリンティング技術を活用することで、効率的に風車タワーの巨大基部の建設を目指す。
脱炭素社会の形成を目指すうえで、再生可能エネルギーの利活用が推進されている状況だ。業界有力プレーヤーのGEリニューアブルエナジーのように、再生可能エネルギー由来の発電に資する製品・サービスの開発に向けた取り組みに今後も注目したい。
【参照記事】*1 GEリニューアブルエナジー「GE Renewable Energy inaugurates 3D printing facility that will research more efficient ways to produce towers for wind turbines」

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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