アラスカ航空、ジェットゼロに投資。燃料消費と排出を50%削減する混合翼機の開発支援

米アラスカ航空は8月14日、翼と胴体が一体化した混合翼機の開発を進めるジェットゼロ(JetZero)に投資したと発表した(*1)。燃料消費と排出を最大50%削減する混合翼(BWB)機の開発を支援することで、航空業界のサステナビリティを推進する。

今回の投資は、アラスカ航空がネットゼロを実現するとともに、航空業界の未来に役立つ新技術を推進するという同社のコミットメントを反映したものである。アラスカ航空は昨年、航空会社としては初めてジェットゼロのシリーズAに参加した。

アラスカ航空の投資部門であるアラスカ・スター・ベンチャーズ(ASV)が投資を行った。ASVは、アラスカ航空が2040年までにネットゼロを実現するという野心的な目標を達成するのに役立つ技術を特定し、利用可能にすることに注力する。

ASVの取り組みは、運航効率、機材更新、持続可能な航空燃料(SAF)、廃棄物削減、電動航空機とともに、アラスカ航空の包括的なサステナビリティ戦略の一環となる。

ジェットゼロは21年に創業し、世界初となる商用混合翼機を開発する航空宇宙スタートアップだ。

翼と胴体を1つの滑らかな形状に統合した革新的なデザインにより、現在利用されている円筒形の機体と翼で構成されるチューブ・アンド・ウィング型と比較して空気抵抗を大幅に低減する。これにより、燃料消費を50%削減し、二酸化炭素(CO2)排出量と運航コストの削減につなげられる可能性がある。

100%SAFに対応し、ゼロカーボンの水素を収容できる。BWB型航空機は、チューブ・アンド・ウィング機のスペース上の制約を無くすことで、より快適な顧客体験も提供する。

ジェットゼロはBWBが様々な用途に対応できる特性を生かし、既に民間航空会社や貨物会社と提携している。米空軍、米航空宇宙局(NASA)、米連邦航空局(FAA)と緊密に協力し、タンカーや貨物機として軍用ジェット機を提供する能力を備えた民間ジェット機の開発、商品化もリードする。30年までにBWB型航空機の商業運航を開始することを目指す。

ジェットゼロのトム・オレアリー共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は「航空会社にとって最大の課題は、燃料消費量と排出量の削減である。BWBの設計は、現在実用化されている優れた新技術の中でも、群を抜いて大きな効果をもたらす。航空会社は、現在飛行している航空機と比較して、コスト削減、排出ガスの大幅削減、顧客体験の向上という利益を即座に得ることができる」と述べた(*1)。

【参照記事】*1 ジェットゼロ「Alaska Airlines announces investment in JetZero to propel
innovative aircraft technology and design

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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