気候テックスタートアップ44.01は7月15日、シリーズA(資金調達ラウンド)で3,700万ドル(約59億円)調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、二酸化炭素(CO2)を鉱物化する技術の開発、商業化、国際展開を加速させる。
今回のラウンドは、ノルウェーのエネルギー大手エクイノールのコーポレートベンチャーキャピタルであるエクイノール・ベンチャーズと、アラブ首長国連邦(UAE)のベンチャーキャピタルであるShorooq Partnersが主導した。
その他にも、オマーンのテクノロジー投資会社 Innovation Development Oman、アマゾンのクライメート・プレッジ・ファンド、住友商事などが参加した。ビル・ゲイツ氏が立ち上げたブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズを含む既存投資家も加わった。
今回の資金調達は、44.01の鉱物化技術が、CO2を大規模に、安全かつ恒久的に除去できる可能性に対する信頼を反映したものである。同社は技術改良を継続し、商業規模のプロジェクトを開発し、国際的な展開を拡大することが可能になる。
CO2を鉱物化できるマフィック岩および超苦鉄質岩は、全ての大陸で見つかっているため、44.01の鉱物化技術は真にグローバルな気候ソリューションである。鉱物化プロジェクトは、迅速かつモジュール化でき、従来のジオロジカル・ストレージ(地質学的貯留)に代わる費用対効果の高い選択肢となる。
44.01は、2020年にオマーンで設立された気候テックスタートアップだ。44.01はCO2の分子量に由来し、CO2にちなんだ社名となる。44.01が主にオマーンで事業を展開するのは、同地に世界最大級のかんらん岩の層があるからだ。かんらん岩のような反応性が高い岩石は、CO2を自然に鉱物化する。
同社は、CO2がエネルギー移行を支援する新たな産業を形成し、古い技術や専門知識を新たな用途に役立て、自然が自らのツールを活用して気候変動に立ち向かうのを助けるチャンスであると捉えている。
かんらん岩を用いたCO2鉱物化技術は、CO2を水に溶解させ、地下のかんらん岩に圧入し、化学反応によって鉱物として固定化する。回収したCO2を12か月未満で恒久的に除去する。
空気中や削減が難しい産業プロセスからCO2を直接回収し、重要な産業の脱炭素化を支援し、最終的には大気中のCO2量を持続可能なレベルに戻すことを目指す。CO2鉱物化は、安全、スケーラブル、恒久的なプロセスとして注目されている。
44.01は、オマーンとUAEでのパイロットプロジェクトを成功裏に完了した。22年に世界的な環境大賞であるEarthshot賞(Fix our Climate(気候変動を解決)部門)を受賞したほか、同社のオマーンでのプロジェクトHajarは、XPRIZE炭素除去コンペティションでファイナリスト(トップ20)にも選ばれた。
【参照記事】*1 44.01「44.01 completes $37m Series A investment round」

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