今回は、ネム(XEM/JPY)のデイトレード戦略について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
ネム(XEM)は、国内の多くの仮想通貨取引所で早期から取り扱われており、アルトコインの中でも人気の高い銘柄です。今回はXEM/JPYのデイトレード戦略について解説します。
①ネム(XEM)の環境認識
ネム(XEM)をトレードする際の環境認識をする上で必要な事項の解説をします。
仮想通貨には株式取引における個別銘柄と同じように基本的なスペックなど押さえておきたいファンダメンタルズがあります。それぞれの仮想通貨には仮想通貨の発行目的や技術的なことに関するホワイトペーパーがありますが、トレードをする上ではそこまで読み込み必要はありません。
しかし、トレードに直接的に関係してくる情報は確認しておく必要があります。その代表的なものが時価総額や時価総額ランキング、循環サプライでこれらの情報は定期的に確認されることをお勧めします。特にアルトコインにおいては時価総額の大きさは重要です。時価総額が低い場合は流動性が低い場合が多く、短期の取引においてテクニカル分析が難しくなります。
ネム(XEM)の場合の時価総額など、スペック的な部分で押さえておきたい情報は以下の通りです。
- 時価総額・・・約1505億円
- 時価総額ランキング・・・62位
- 循環サプライ・・・約100%(8,999,999,999 XEM)
これらの情報はどのような仮想通貨を取引する場合でも重要です。トレードの度に確認する必要はありませんが、最低月に一度は確認し情報を更新される事をお勧めします。
②ネム(XEM)のファンダメンタルズ
それぞれの仮想通貨に特有のファンダメンタルズもあります。例えば、仮想通貨の特徴や提携情報、上場、その他のニュースになるような出来事などです。
ネム(XEM)の場合は、Symbol(XYM)を配布するためにスナップショットが行われたことや、各国政府との提携などがあります。これらの情報は仮想通貨関連のニュースサイトから得られることが多いため情報収集は毎日行いたいところです。
③テクニカル分析を用いた環境認識
ファンダメンタルを抑えた後は、テクニカル分析を用いた環境認識を行います。テクニカル分析を用いた環境認識は、トレードをする度に行う必要があります。やり方としては、複数の時間足を使用するマルチタイム分析を行います。
相場の動きの基本として長い時間足のチャートのトレンドの方が短い時間足のチャートよりも強いと言うものがあります。デイトレードを行う際は、短い時間足のチャートを対応することとなり、ついつい長い時間足のトレンドを忘れてしまうことが多くなります。結果的に強いトレンドが発生してそのまま伸びるように思えても、あるレートで急に跳ね返され、長い時間足のチャートを確認してみるとそれが強いレジスタンスラインが存在するレートだったなどと言うことが起こります。そのため最低でも日足のチャートを確認するなどの癖づけはしておきたいものです。
今回はCoincheckのXEM/JPYの「日足」「4時間」「1時間」の3種類のチャートを使用してマルチタイムフレーム分析をします。それぞれのチャートのトレンドの方向性とトレンドをブレイクする価格また現在価格に最も近いレジスタンスとサポートの価格を意識すべき価格として抽出します。
2021年7月25日時点の結果は以下のようになりました。
時間軸 | トレンド | ブレイクポイント | レジスタンス | サポート |
日足 | アップトレンド | 12.9155 | 18.7089 | 15.0007 |
4時間 | アップトレンド | 12.7165 | 18.7089 | 15.0007 |
1時間 | アップトレンド | 12.7675 | 17.1241 | 15.0007 |
日足のトレンドに関しては短期的なアップトレンドが発生し、トレンド転換が定着するかどうかという微妙なところです。ダウントレンドからの明確な転換と言えるのはレジスタンスを越えてきてからですが、四時間足と1時間足は明確なアップトレンドとなっており、日足においてもアップトレンドとしました。
④ネム(XEM)トレードの戦略立案
最後に具体的なネムの基本としてトレード戦略の組み立てについて解説します。環境認識を整理すると以下のようになります。
◆ ファンダメンタルズ分析
- 仮想通貨全体が底打ちの雰囲気で上昇トレンドに回帰しつつある。
- Symbolのアップデートが行われた。
- NFTプラットフォーム「NEMBER ART」が誕生。
◆テクニカル分析
- 日足におけるダウントレンドはブレイクした可能性が高い。
- 4時間足と1時間足は明確にアップトレンドとなっている。
以上の環境認識の結果からXEM/JPYのトレードにおいては順張りで「ロングエントリー」をするトレードとします。
現状のXEM/JPYではウイリアムズ%Rが有効
現状のXEM/JPYのデイトレードでは「ウィリアムズ・アリゲーター」を使用するトレードが有効です。ある程度長い時間軸で一定のトレンドが発生しているため、「アリゲーター」の売買サインが有効に機能しています。
これはあくまで現時点でのXEM/JPYの相場環境にインジケーターが適合しているという意味であるため、この先ずっと機能する訳ではありません。
1時間足を使用して利益を追うスタイルのためエントリーから決済までの時間軸は1日を超えることも発生しますが、大きめの利益を狙うことができます。
また、損切りと決済はアリゲーターのルールではなくトレンドラインブレイクを使用します。
⑤ウイリアムズ%Rを利用したデイトレード
では具体的にウィリアムズアリゲーターを利用したXEM/JPYのトレード手法について解説します。
アリゲーターのインジケーターは「短期」「中期」「長期」と三本の移動平均線を利用します。Coincheckのトレードツールでは、「短期」は緑「中期」は赤「長期」は青がデフォルトの設定となっています。 今回の使用する時間足は、1時間足です。
アリゲーターの売買サインは、極めてシンプルです。
◆買いシグナル
まずアリゲーターのラインが上昇トレンド(右肩上がり)を示している状態で、各線の並び順が上から
- ローソク足
- 短期(緑)
- 中期(赤)
- 長期(青)
と揃ったタイミングがエントリータイミングとなります。
◆売りシグナル
売りシグナルは、買いと逆でアリゲーターのラインが下降トレンド(右肩下がり)を示している状態で、上から
- ローソク足
- 長期(青)
- 中期(赤)
- 短期(緑)
と揃ったタイミングがエントリータイミングとなります。 また、手仕舞いのルールとしては、利益確定・損切ともに「三本の移動平均線の並びが乱れた時」となっています。
注意すべき点はローソク足とアリゲーターラインの位置関係です。アリゲーターラインの並び順だけではなく、アリゲーターラインがローソク足より上にあるか下にあるかを確実に確認するようにしてください。
XEM/JPYのデイトレード戦略として、エントリーに関してはアリゲーターのロングのサインが出たタイミングでエントリーをすることとします。
ただし、利確と損切りに関してはアリゲーターのサインではなくトレンドラインを明確に割り込んだタイミングとします。理由としてはイグジットサインであるアリゲーターラインの並びが崩れた時にすると、少し利益をこぼしてしまうからです。
基本的には、教科書通りに直近の最安値からチャート上の反転ポイントまでのトレンドライン(図の黄色やオレンジの線)を使用しますが、現在のように強いトレンドが発生している時は、トレンドラインからの乖離が大きくなるため、トレンドラインを引く期間を短くして直近の最安値から次の最安値までを引いたライン(図のピンクの線)にします。
もちろんトレンドライン以外でも、ボリンジャーバンドやオーサムオシレーターなどを使用する手法も良いと思います。
⑥まとめ
今回はXEM/JPYのトレード戦略について解説しました。今回は資金管理に触れることはできませんでしたが、資金管理もしっかり行う必要があります。資金管理を行う際は変動率や乖離率など、その取引ペアがどれくらいの値動きが発生するかを調べておくことが重要です。
中島 翔
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