今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の赤澤 直樹 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。
目次
- Raribleとは?
- Raribleで見つけられる作品やアーティスト
2-1. タコベル
2-2. 1SEC
2-3. LIRONA - Raribleの特徴
3-1. インターフェースの完成度
3-2. RARIトークン
3-3. 比較的安価な作品が多い
3-4. 開施錠可能なコンテンツを設定できる - 著者あとがき
NFTのブームが高まるに連れて、多くのNFTマーケットプレイスが登場しています。そんな中一躍脚光を浴びているのがRaribleというマーケットプレイスです。この記事では、Raribleの概要や扱われている作品などRaribleの概要について紹介します。
Raribleとは?
Raribleは、アート作品が中心に取り扱われているNFTマーケットプレイスです。ロシア系の創業者が2019年11月に立ち上げ、当初英語で展開されているサービスでしたが、現在は部分的に日本語対応も進んでいるので以前と比べ格段に利用しやすくなりました。
Raribleの特徴を一言で言うならば、よく作り込まれたユーザーインターフェースです。NFTの売買はもちろんのこと、NFTの発行まで簡単に行うことができます。ウォレットを接続し、空欄を埋めていくだけで発行ができるため、初めてNFTを発行する人にも優しいインターフェイスとなっています。
NFTを発行する際には、クリエイター自身がロイヤリティを設定することができます。ロイヤリティは2次流通以降の取引が行われた際に、クリエイターに対してフィーが還元される仕組みです。これにより、Rarible上で2次流通された際などに、そのNFTの発行者が継続的に利益を得ることができるようになっています。
また、RaribleはRARIというトークンを発行しており、Raribleユーザーや投資家に対して配布を行っています。RARIトークンはプラットフォームとしてのRaribleの今後の方針に対して、投票を通して意思決定に参加できる仕組みを備えています。
このような特徴を持っていることからOpenSeaに迫る人気を誇るようになっています。2020年中には、10万以上のアイテムがRarible上で生成され、約26億円(2,400万ドル)の取引量を記録しています。2021年に入ってからは3ヶ月弱程度で約36億円の取引高をマークしています。この数字だけでも急速に成長しているサービスであるということが分かります。
Raribleで見つけられる作品やアーティスト
Raribleでは、多くのアーティストの作品を見ることができます。
2-1. タコベル
最近大きな話題となったものではまずファストフードチェーンであるタコベルが挙げられます。タコベルはRaribleで5種類のタコスを象徴としているアートワークのNFTを計25個、オークション販売しました。トークン発売当初は約195円(0.001ETH)で開始され、最高入札額は約7.6万円(0.4WETH)を記録しました。ここで発生した収益はタコベル財団に寄付され、主に16~24歳の若者への投資に充てられます。
2-2. 1SEC
日米で拠点を持つ1SECはコレクタブルバーチャルスニーカー「AIR SMOKE 1」をNFTとして発行し売り出しました。 1SEC社は社内に1Blockというデジタルファッションレーベルを設立しています。なお、このNFTは結果として開始9分で落札され、約113万円で購入者の手に渡りました。
2-3. LIRONA
Raribleの高額取引の履歴をみているとLIRONAというアーティストの作品がよく目につきます。LIRONAはニューヨーク/ロサンゼルスを拠点とするデザインディレクター、イラストレーター&アーティストです。BUCKというクリエイティブカンパニーで働く傍ら、余暇にデジタルアートを作成し出品しているようです。この作品は、ヘッドや目、鼻、アクセサリーなど複数のパラメータを変更することで多種多様なキャラクターを作成しています。作品の中には3ETH前後で取引されているものもあり、高い人気を誇っています。
Raribleの特徴
3-1. インターフェースの完成度
Raribleを他のマーケットと比べた際に最も際立つのは、インターフェースの完成度でしょう。初めてNFTを発行したり、売買したいという方には一番いい選択肢と言えます。例えばOpenSeaも品揃えがよく初心者に優しいですが、インターフェースの完成度で言えばRaribleに軍配が上がります。初めてNFTの発行や取引を行う時は、なるべく優しいインターフェースで丁寧な案内がある方が事故を減らせるためおすすめです。
3-2. RARIトークン
RARIトークンを配布し、コミュニティの意思決定にユーザーを参加させる取り組みは非常にユニークで他のマーケットにはない体験だと言えます。現在RARIトークンはおおよそ2,000円ほどをつけており、その点でのインセンティブが用意されているのは今後どのようにRaribleに影響を与えていくのか要注目です。
3-3. 比較的安価な作品が多い
Raribleはアート作品メインのプラットフォームですが、他のマーケットプレイスと比べて比較的安価な作品が多くなっています。そのため、低予算からNFTの売買を行うことができるので、最初に触るハードルが低くなっています。Raribleのサイトをみてみると、0.01ETHや0.15ETHといったような価格帯のアイテムを多く見かけることができます。
3-4. 開施錠可能なコンテンツを設定できる
Raribleでは、NFTの保有者だけが閲覧利用できるコンテンツをデフォルトで設定することができます。これは、NFTの販売や贈与のような所有権の譲渡が行われた後にのみ表示されます。 NFTのクリエイターはこの機能を使用して、高解像度のファイル、ビデオ、秘密のメッセージなどを含めることができ、NFTの保有者のみが楽しめるギミックを仕込めることが可能です。
著者あとがき
Raribleは分かりやすいインターフェースやRARIトークンを使ったユニークな運営方法など他のマーケットプレイスにはない特徴があります。初めてNFTの取引や売買をしてみたいのであればまずRaribleを利用してみると良いでしょう。NFTの保有者のみが楽しめるコンテンツを設定できるといったギミックもあるため、他にはない機能を楽しんでみたい方にもおすすめです。さらに、RARIトークンを使ったコミュニティへの参加やより良いマーケット作りに関心がある方もNFT文脈とは少し違う楽しみ方ができるため、面白い経験ができるでしょう。
ただし、Raribleは主にアート作品がメインであるため、色々なカテゴリのNFTを扱っていきたい方はRaribleよりも、むしろより裾野の広いOpenSeaなどを利用するのがおすすめです。
ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。
Fracton Ventures株式会社
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