今回は、Terra(LUNA)について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Terraプロジェクトとは?
1-1.Terraプロジェクトの概要
1-2.Terraプロジェクトの目的
1-3.Terraプロジェクトのプロダクト
1-4.LUNAの基本的なスペック
1-5.ステーブルコインの種類
1-6.Terraステーブルコインのメカニズム - LUNAの価格推移と将来性
2-1.LUNAの価格推移
2-2.価格上昇の背景
2-3.LUNAの将来性 - まとめ
Terra(LUNA)は2021年を通して力強い価格上昇を続け、現時点で仮想通貨の時価総額ランキング9位に位置しています。今回は韓国で設立されたプロジェクトTerraと仮想通貨LUNAについて解説したいと思います。
①Terraプロジェクトとは?
まずはじめに、Terraプロジェクトの基本的事項について解説します。
1-1. Terraプロジェクトの概要
Terraプロジェクトは韓国人のDaniel Shin氏とDo Kwon氏によって2018年1月に創立された「Terra Money」から派生しています。Daniel Shin氏はマッキンゼーアンドカンパニーでコンサルタントを務め、韓国の主要な電子取引プラットフォームでユニコーン企業として知られるTicket Monster(チケットモンスター)社やFast Track Asia社(ファスト・トラック・アジア)などのスタートアップに参画してきた経歴を有します。
Do Kwon氏はスタンフォード大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、Microsoft社とApple社でソフトウェアエンジニアとして活躍した後、分散型ワイヤレスメッシュネットワークを提供するAnyfi社を創設。現在はTerraのバックボーンとなるTerraform Labs社のCEOに就任しています。
Terraプロジェクトは当初から注目を集め、Binance LabやHuobi Capital、Polychainなどから、約3,200万ドルの資金を調達しています。
1-2. Terraプロジェクトの目的
ホワイトペーパーによるとTerraプロジェクトは「仮想通貨の不安定な価格変動の抑制」と「ユーザビリティの向上」にフォーカスしており、ステーブルコインの発行とステーブルコインを使用したユースケースにおけるユーザビリティの高いサービス提供を中心とします。
ターゲット層は、国境を超えて出稼ぎをしている方や、国際的な取引の多い方々であり、複数の法定通貨に対応したステーブルコインを発行し、海外送金の手数料や為替両替手数料の削減などに取り組むというものです。
また、Terraプロジェクトは「人々を不透明な手数料から解放する」というテーマを掲げており、クレジットカードの手数料など、利用者が思っている以上に支払っているコスト削減を狙います。
1-3. Terraプロジェクトのプロダクト
Terraプロジェクトの最大のプロダクトは、後述するステーブルコインです。DeFiとの連携やコスモス(ATOM)ネットワークなどとの接続も特徴の一つと言えるでしょう。その他には「Anchor」と呼ばれるレンディングサービス、「CHAI」というモバイル決済サービス、「Dropship」というステーブルコインのブロックチェーン間送金サービスなども提供しています。
1-4. LUNAの基本的なスペック
Terraエコシステムで使用されるトークンがLUNAです。LUNAの仮想通貨のスペックとしては以下の通りです。
ティッカーシンボル | LUNA |
現在の価格(22年1月7日現在) | 8,253.96円 |
時価総額 | 約2.96兆円 |
時価総額ランキング | 9位 |
循環サプライ | 402,126,884 |
1-5. ステーブルコインの種類
2022年1月7日現在、Terraプロジェクトのステーブルコインのバリエーションは、以下の法定通貨との組み合わせとなります。
- アメリカドル・・・「Terra USD」(UST)
- 韓国ウォン・・・「Terra KRW」(KRT)
- モンゴルトゥグルグ・・・「Terra MNT」(MNT)
これらのTerraエコシステムを利用するステーブルコインはBINANCEなどの海外取引所で取扱いがあります。
1-6. Terraステーブルコインのメカニズム
Terraエコシステムで発行されるステーブルコインは、ガバナンストークンである「LUNA」を担保に発行され、アルゴリズムによって価格調整が機能しています。
例えば、「Terra USD」の需要が高まってアメリカドルの価格を超えると、アルゴリズムが価格是正のために「Terra USD」を発行します。新規発行された「Terra USD」は流通市場で売却してLUNAを購入し、購入したLUNAをバーンします。
つまり、Terra USDの需要が高まるほどLUNAの流通量が減っていく仕組みとなっています。このようなメカニズムでステーブルコインの価格の安定化を図っているため、LUNAの価格は高騰しました。現在、Terra USDの発行量は111億UST(1兆2,200億円相当)に拡大しています。
②LUNAの価格推移と将来性
次に、LUNAの価格推移と将来性について解説します。
2-1. LUNAの価格推移
2021年のLUNAの価格推移を見てみましょう。年初に67.05円でスタートしたLUNAの相場は、2021年の最高値で11,408.65円と驚異的な上昇をしている事がわかります。5月下旬の仮想通貨市場全体の下落の際にも大きく下げず、転機となった7月下旬以降はかなり力強い上昇をし、12月においてもクリスマスまで上がり続けています。
2-2. 価格上昇の背景
3月の月初からの4倍倍となった上昇要因は、レンディングサービスのAnchorのリリースです。9月にも月初めの10日で価格は約3倍にもなりましたが、上昇原因は新プロジェクトの「ProjectDawn」が発表されたことに起因すると考えられています。また、12月の上昇はアメリカの大手取引所であるクラーケンへの上場などが上昇要因と考えられます。
2-3. LUNAの将来性
まだ、3種類のステーブルコインの発行しかしていないにも関わらず、これだけの勢いで価格が上昇していることを考えると、発行するステーブルコインの種類が増えたり、発行しているステーブルコインの需要の増加に伴ってまだまだ価格上昇が見込めると言えます。
懸念すべき点としては、各国政府によるステーブルコインに対する規制です。規制のないようによってはLUNAの下落バイアスともなりうるため、十分な注意が必要と言えるでしょう。
③まとめ
時価総額の高い人気の仮想通貨であるにも関わらず、残念ながら日本の仮想通貨取引所では取り扱いがありません。そのためTerraに投資をしたい場合は、海外の仮想通貨取引所やDEXを利用して投資をする必要がありますが、まずはビットコインやイーサリアムなどの購入が必要です。
ビットコインやイーサリアムに関しては、国内仮想通貨取引所であるCoincheckやGMOコインで口座開設をする事で簡単に購入することができるため、まずは国内の仮想通貨取引所でビットコインやイーサリアムを購入し海外仮想通貨取引所に送金を行ってLUNAを購入してみるといいでしょう。
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中島 翔
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