ビットコイン購入のタイミングを見極める、ストップロスを利用したビットコイン・トレーディング手法

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証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. チャート上の節目で見せるビットコインの値動き
  2. 節目のブレイクを利用したトレード手法
  3. テクニカル指標と組み合わせる

暗号資産のマーケットは成長の一途を辿っているものの、全体の時価総額で30兆円~40兆円の小さなマーケットです。従来の金融市場に比べて流動性が低いため、激しい値動きを見せています。

ビットコインのチャートを見ていると、レジスタンスやサポートラインが機能し続け、一度ラインをブレイクすると激しい値動きを見せる場面が度々あります。このような動きにはトレーダーのポジションが影響しています。ここではこうした値動きの背景を解説し、ブレイクを利用したトレード手法についてご紹介したいと思います。

①チャート上の節目で見せるビットコインの値動き

最初にチャートの重要な節目における動き方と背景について説明したいと思います。

チャートでは必ずレジスタンスラインとサポートラインが現れます。これは投資家が注目しているラインであるため、「ここで止まる」と思う投資家と、「突破する」と思っている投資家の攻防が行われ、結果として取引量が増える傾向があります。

売買の力関係がいずれ壊ると、最終的に価格が大きく動くことになります。それではチャートの節目について実例を見てみましょう。

Stop loss trade 1上図はビットコイン円の日足チャートです。水色の水平線がサポートラインとして機能していましたが、青色の○印のタイミングで下方ブレイクしています。節目を突破すると値動きが大きくなっていることがわかります。

それでは次の例をご覧ください。

Stop loss trade 2こちらもビットコイン円の日足チャートです。水色の水平線が何度もサポートラインとして機能していることがわかります。しかし、1つ目の○印のタイミングで下方ブレイクし、価格は急落する動きとなりました。

そして2つ目の○印でこのラインを上方向にブレイクすると、上ヒゲをつけて急騰しています。その後、このラインが数回、サポートになっているのが見て取れます。

このようにサポートラインがレジスタンスラインに転じたり、レジスタンスラインがサポートラインに転じたりすることを「ロールリバーサル(役割転換)」と呼びます。

節目を突破するということはそれだけ重要な変化であると、覚えておきましょう。次に、このような節目を突破した時に大きな値動きを見せる背景について解説します。以下のチャートをご覧ください。

Stop loss trade 3上図は2つ目のチャートと同様です。まず、1つ目の○印で反発しました。これにより、2つ目の位置まで到達した時に、「再び、ここで止まるだろう」と考えるトレーダーがロングポジションを構築します。特に、レバレッジをかけて大金を賭けるトレーダーは、エントリーの段階で損切りポイントを決めています。この例で言えば、水色の水平線を割れた付近が妥当な損切ポイントとなりそうです。

その後、3つ目の〇印で同じサポートラインまで低下しましたが、反発しています。ここで「買い」を入れ、ロングポジションを構築する投資家がいたということです。

ここでは合計でロングポジションを作るタイミングが3回ありました。1度目の○印から3度目の○印までロングポジションが多く積み上げられたことが想像できます。

しかし、緑の○印でサポートラインを下回っています。ロングポジションを作ってきた投資家は、エントリーを行ったサポートラインの少し下のラインで損切り注文を入れています。結果的に下落によりビットコイン価格がこうした損切ラインに触れて、ロング勢のポジションが投げ売りされたことで、急落につながっています。

このように、節目を突破すると投資家の損切りを誘発し、大きな値動きにつながることを覚えておきましょう。そして、節目をブレイクした後はロールリバーサルが起きるため、反転しにくくなります。

それでは次に、この動きを利用してどのようなトレードができるのかをご紹介したいと思います。

②節目のブレイクを利用したトレード手法

トレード手法を紹介する前に、今回使用する注文方法について、まずは解説します。

  • IFO(IF-DONE-OCO)注文:ある水準に到達したらエントリーし、その後損切りと利益確定の注文も同時に出す方法

例えば、ビットコインが10,000ドルまで下落したらロングでエントリーし、ポジションを持った段階で、「9,900ドルに損切りを設定する」と同時に「10,100ドルに利益確定を設定する」という2つの注文を出す事ができるのがIFO(IF-DONE-OCO)注文です。

それでは、この注文方法をトレード手法に利用してみましょう。以下のチャートをご覧ください。

Stop loss trade 6こちらは先ほどのビットコイン円の日足チャートを拡大したものです。緑の○印で、1,000,000円の節目をブレイクして相場が走っています。ストップロスの売りが発動し、一気に850,000円付近まで15%急落すると、まもなく戻した格好です。

先ほど、1,000,000円付近で3度ロングポジションを構築した投資家が多いことを説明しました。つまり980,000円から990,000円あたりで損切りの売り注文が溜まっていると予想できます。つまり、この価格帯で相場が下落方向に走りやすい傾向を利用しましょう。

つまり、「990,000円まで下落したら、売り方向でエントリー、900,000円で利益確定の買い戻し」という注文を出します。

これは最初の指値注文を「逆指値注文」で行うことがポイントです。逆指値注文=ストップ注文というイメージが強いかもしれませんが、逆指値注文はエントリー時でも利用できます。

そして、節目を突破した後にどのくらいの値幅が出るのかをしっかりと見極めることもポイントです。それまでに「何度その節目でサポートされてきたか」、そして「その価格帯がこれまでどのような機能を果たしていたのか」を分析することで、目安をつけることができます。これが出来る様になると、一瞬で利益を大きく出すことも可能となります。

実例としてもう一つチャートを掲載しますので練習の意味も含めてご覧ください。

Stop loss trade 4こちらもロールリバーサルの背景があり、サポートをブレイクすると相場が下方向に走っています。暗号資産の世界では、このような値動きが頻繁に見られます。是非色々なチャートをチェックして見てください。

今回ご紹介したトレード手法は、筆者がFXトレードで実際に利用していた手法なので、有効性はあるでしょう。

③テクニカル指標と組み合わせる

ブレイクを利用したトレード手法は、テクニカル指標を併用することで精度を上げることも可能です。特にオシレーター系の指標が「売られ過ぎ」の範囲に入っている時にブレイクした動きに追従しても、あまり下落しなかったり、思ったような値幅を取れないことがあります。例えば先ほどのチャートにRSIを付加すると、以下のようなチャートになります。

Stop loss trade 5この場合、RSIはまだ「売られ過ぎ」の範囲内に到達していないので、自信を持ってショートポジションを構築することができます。仮にRSIで30以下の売られ過ぎのラインまで低下していた場合、あまり下落しない結果になっていたかもしれません。

オシレーターを併用することで必ずしも勝てるわけではありませんが、勝率をあげ、安定して利益を出すことにつながります。常に大きなリターンを狙う博打のようなトレードではなく、手堅い手法をこなしながら、着実に「勝ち」を積み上げるトレードを心がけましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12