ビットコインをポートフォリオ戦略に取入れる考え方。金や株との関係に基づいて元トレーダーが解説

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証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. 現状の相関関係は?
  2. 株の保有を縮小し、ビットコインを増やす場合
  3. 株式とビットコインをメインに、ゴールドでリスクヘッジ
  4. 資産クラスの相関関係は変化する

暗号資産(仮想通貨)はこれまで、個人投資家しかいないようなニッチなマーケットでした。そのため、従来の金融市場とあまり相関しない傾向がありました。

しかし、2020年現在では暗号資産市場の時価総額は30兆円を超えています。機関投資家が参入し、ポートフォリオにビットコインの組み入れるよう助言するファンドが出てくるなど、世界的な認知度も高まっています。

近頃のメディアでは、ビットコインが株式市場やゴールド(金)と相関しているか否かといった議論がにぎわっています。ここでは、株やゴールドを保有している投資家が、どのようにビットコインを捉え、投資対象としてポートフォリオに組み込めるか解説したいと思います。

①現状の相関関係は?

ビットコインは「リスク回避資産」なのか「リスク資産」なのか?というテーマは、ビットコイン取引が普及し始めた当初から議論されてきました。

ビットコインは最大発行数量が決まっているため、採掘量に限度があるゴールドと同様に、リスク回避資産であると主張するものもいました。しかし、現在の動きを見る限り、ビットコインはリスク資産と見做しておく方が良いでしょう。
Correrlation assets
上記は青色:ビットコイン、オレンジ:S&P株価指数、緑:ゴールドの価格チャートです。

2018年頃までは米株の下落に呼応するかのようにビットコインも下落していることがわかります。そしてゴールドとビットコインが同じような動きをする場面も見られます。

2019年までは株価の動きとビットコインの動きの相関係数はそこまで高くありませんでした。しかし、現状のビットコインと米株の相関係数は継続的に0.3を超えてきており、ある程度相関があるということを示しています。
Corelation
一方、ゴールドと米株の相関性は緩やかに低下してきています。株価とゴールドの相関が弱まる一方、ビットコインと株価の相関性が強まっているのが現状の動きと言えます。

それでは現在の環境下で投資家はこの3つのアセットクラスを使い分けるにはどうすればいいか考え方をご紹介したいと思います。

②株の保有を縮小し、ビットコインを増やす場合

現在、投資信託や個別銘柄などの株を保有している方であれば、株の割合を低下させ、ビットコインの保有量を増やす方法があります。その場合、ビットコインと併せてゴールドの保有も増やす方がベターです。

ビットコインはゴールドの値動きの数倍以上は軽く動くものです。そのため、例として100万円分の株式保有分から30万だけ売却し、ビットコインとゴールドに15万円ずつ振り分けるとします。ビットコインは短期間で上下どちらに数十パーセント程度動いてもおかしくない商品です。そのため30万円まで価値が上がることも普通にありますし、一方で7.5万円まで資産価値が下落してもおかしくはありません。

一方のゴールドは動いてもせいぜい10%程度です。そうなると値幅は16.5万円から13.5万円程度となり、ビットコインと比較するとゴールドの値幅は限定的です。先ほどの30万円について、ビットコインの配分を5万円に抑えて、25万円をゴールドに振り分けることで、損益のブレを安定させることができます。

このような計算は通常、ボラティリティを使いますが、初心者では難しい部分もあります。そのため、大体の値幅を目安にビットコインの配分を落とす感覚で、ポートフォリオを調整してみましょう。

③株式とビットコインをメインに、ゴールドでリスクヘッジ

次に、ビットコインと株式の相関が高まっていることを利用したポートフォリオの組み方をご紹介します。以下の方法は、株式の値上がり益を期待しつつ、ビットコインも一緒に上昇することを期待する考え方となります。

  • 例えば株式を100万円保有しているとします。
  • ここから期待できるリターンは30%としましょう。つまり30万円です。
  • この30万のリターンを実現するのに、ビットコインなら15万円で十分とします。
  • そのため、日本株を30万円分現金化し、ビットコインを15万円分購入します。
  • そして余った15万円は株やビットコインとは独立して動いているゴールドを保有います。

こうすることによって株とビットコインから期待できるリターンは同額になり、かつ独立して動いているゴールドを保有することによって資産価値のブレを抑制することができます。また、株が下落したとしてもゴールドの上昇が期待できるため、株で損失を被ったときのリスクヘッジにもなります。

これが「ポートフォリオ効果」と呼ばれるもので、リスクを小さくしながら期待リターンを高めるということです。誰でも実践ができるので是非やってみましょう。

④資産クラスの相関関係は変化する

今回はビットコイン、株式、ゴールドの3つのアセットクラスを例にポートフォリオの作り方、利用方法について解説しました。しかし、ゴールドと株価、ビットコインの相関性は、時間とともに変化します。

このように時代の動きや変化によって相関そのものの定義が変化することは中長期的に投資を行うプレイヤーにとっては大事なことです。いつもこれまでの定義が通用する訳ではないので注意しましょう。そして変化に応じて、ポートフォリオの配分を柔軟に対応していくことが大切です。

これから初めてビットコインは保有する投資家は、まずは暗号資産取引所の口座開設をしておきましょう。現在は証券会社のグループ企業が運営する暗号資産取引所が増えてきています。SBI VCトレードやコインチェック(マネックス系列)、GMOコインなどは、金融サービスのノウハウを活かしたセキュリティ体制、取引機能を備えています。

これらの企業で口座開設し、中長期的にビットコインをポートフォリオの一部として組み入れてもらうと良いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12