今回は、Web3.0とDAOをテーマに事業を行うFracton Ventures株式会社の赤澤直樹 氏から寄稿いただいたコラムをご紹介します。
目次
- メタバース×NFTの可能性
- メタバースにおけるNFTの応用例
2-1. NFTの展示会
2-2. NFT化された土地の取引
2-3. アバターが着用できるNFT
2-4. NFT所有者のみアクセスできるエリア
2-5. メタバース上でのショップ/施設の展開 - NFTの新しい使い方を考えてみよう!
NFTの普及に伴い、メタバースの活用も加速してきました。メタバースはデジタル上に構築されている新しい交流の場です。ブロックチェーンをバックグランドに持つメタバースが広がっている中で、NFTをそれと組み合わせる事例が徐々に生まれ始めています。この記事では、メタバースでのNFTの応用例を5つ紹介します。
1. メタバース×NFTの可能性
メタバースについて、明確な定義はまだないものの、ここではデジタル空間上に展開された人々が交流できるフィールドだと整理しておきましょう。デジタル空間上で作られた新しいもう一つの世界のようなイメージです。
2000年初頭からメタバース指向のプラットフォームは存在していましたが、ブロックチェーンの登場によってメタバース自体の拡張性や自由度が大きく向上しました。そんな状況もあり、2021年に突入してからのNFTブームも相まって、NFTを用いたメタバース上のさまざまな取り組みも生まれ始めています。
2. メタバースにおけるNFTの応用例
ここではメタバースにおけるNFTの応用事例を5つピックアップして紹介します。
NFTの展示会
2021年に入り、NFTがクリエイターやアーティストを中心に大きく広がりが生まれてきました。クリプトアートといえばbeepleやcryptopumksなどは聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし、このようなクリプトアートは持っているだけでは、それ以上の広がりを持ちません。物理的なアート作品のようにどこかに展示して大勢にみてもらうなどの工夫をしたいと思うのが一般的な感覚でしょう。
メタバースではNFTを使ったクリプトアートの展示会を行う例も増えています。一例を挙げると、一般社団法人オタクコイン協会とCryptoGames株式会社が、メタバース上に「オタクコイン画廊:Otaku Coin GaRo(OCGR)」を公開して、オタクコインをモチーフにしたクリプトアート作品10点を展示しています。
このようなNFTの展示をメタバース上で行う例は世界中で数えきれないほど生まれ始めています。
NFT化された土地の取引
Decentralandやcryptovoxelsなどのブロックチェーンをバックグラウンドに持つメタバースは、その空間の土地をNFTとして作成して流通させていることがほとんどです。当然流通させればその他のNFTと同じく取引されることが多く、実際の不動産と同じように土地が取引される例も生まれています。例えば、CoinCheckはThe Sandboxというメタバースプラットフォームの土地を販売しました。
今後、メタバース上で展開されるプロジェクトが増えれば増えるほど、人気のエリアや土地が増えていくことが予想され、それによって不動産デベロッパーのような役割を担うプレイヤーが増えていくことが考えられます。
アバターが着用できるNFT
メタバース上では、自分の分身であるアバターを利用してさまざまなアクションを行います。そのアバターは自分好みにカスタマイズできることが多く、アバターの身につけている服や靴、その他のグッズなどをNFTとして取り扱うことができます。このようなグッズはウェアラブルNFTと呼ばれることがあります。Decentralandでも、マーケットでウェアラブルが取引されています。
今後ウェアラブルNFTがメタバース上で活用されることで、これまで以上に新しい展開が広がっていきそうです。
NFT所有者のみアクセスできるエリア
NFTを持っている人のみがアクセスできるコンテンツを用意する方法は、よくあるNFTの活用方法の一つです。トークンゲーティングと呼ばれることもありますが、NFTをある種の鍵のように利用する発想です。日本でも、一般社団法人オタクコイン協会、SSS合同会社、CryptoGames株式会社、株式会社BeyondConceptが実施した「メタバース劇場」は、NFTのオーナーだけがメタバース上の劇場で特典映像を視聴できる取り組みが行われました。
NFTのホルダーだけが楽しめるコンテンツを用意する方法は、NFTの希少性をうまくいかしたいいアイデアです。それをメタバース上で利用することで今までにない人々の交流を作ることが可能になるでしょう。
メタバース上でのショップ・施設の展開
メタバースはある種の新しいウェブサイトのようなものです。インターネットが登場してさまざまなショップやブランドがネット販売のためのサイトやサービスを展開したように、メタバース上でショップやブランドがテナントを構えるという動きもあるでしょう。例えば、Decentralandでサザビーズがロンドンのギャラリーを再現しています。サザビーズは老舗のオークションハウスで、メタバース上に再現することでデジタルアートの新たな側面を切り拓くことを目指しているようです。
多くのショップやブランドがECサイトを利用するように、メタバース上で施設やエリアを展開する将来は遠くないかもしれません。
3. NFTの新しい使い方を考えてみよう!
NFTは発行して終わりではありません。発行した後にどのようにそのNFTを利用するのかを考える必要があります。メタバースを利用することはそのうちの一つです。
ここで紹介した例はあくまで一例ですが、今後新しい取り組みが次々と生まれてくる可能性が高く、アイディアや企画力がより求められる領域であると言えるでしょう。
ディスクレーマー:なお、NFTと呼ばれる属性の内、発行種類や発行形式によって法令上の扱いが異なる場合がございます。詳しくはブロックチェーン・暗号資産分野にお詳しい弁護士などにご確認ください。
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