再生可能エネルギーを利用したFUELHASHのビットコインマイニングとは?

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今回は、再生可能エネルギーを利用したマイニングについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. マイニングとは
    1-1.マイニングの概要
    1-2.ネットワークを保護するマイニング
    1-3.マイニングの問題点
  2. 再生可能エネルギーを利用するFUELHASH
    2-1.FUELHASHとは
    2-2.太陽光エネルギー x マイニング「FUELSOLAR」
    2-3.水力発電 x マイニング
  3. まとめ

22年9月21日、再⽣可能エネルギーを利用したビットコインのマイニング事業を手がける株式会社FUELHASH(フエルハッシュ)が、カナダのオンタリオ州において、水力発電を利用した100%再生可能エネルギーによるビットコイン(BTC)のマイニングファーム運用をスタートすることを明らかにしました。

そこで今回は、現在注目を集めている、FUELHASHが展開する再生可能エネルギーを利用したマイニングについて、詳しく解説していきます。

①マイニングとは

1-1.マイニングの概要

仮想通貨における「マイニング(Mining)」とは、マイニングとは新たなブロックを生成し、その報酬として仮想通貨を手に入れる行為のことです。マイニングの役割は「仮想通貨の新規発行」と「取引の承認」です。日本語では「採掘」と訳されます。

ビットコイン等のPoW(プルーフオブワーク)を介したマイニングは、取引を承認し、報酬として新規発行BTCを受け取るプロセスです。さらに簡潔に言えば、取引の承認はトランザクションデータを検証していく作業と言い換えることもできます。

PoWでは、マイナーが誠実に作業するために経済的インセンティブを設け、ネットワークの信頼を強化する構造になっています。

1-2.ネットワークを保護するマイニング

「ビットコイン(BTC)」をはじめとする仮想通貨には、円やドルといった法定通貨のように、通貨の発行や流通の管理を行う中央管理者が存在しません。そのため、ブロックチェーン・ネットワークに参加するユーザーが、自身の所有するコンピュータを利用して独自に通貨の管理を行うシステムが採用されています。このシステムの下、ブロックチェーン・ネットワークの参加者は仮想通貨のトランザクション内容を確認し、問題がなければ承認作業を実行します。つまり、仮想通貨の取引はブロックチェーン・ネットワークの参加者による承認が完了して初めて成立する仕組みとなっています。そして、そのトランザクション処理能力を提供する見返りとして、ネットワーク上のコンピューターに対して新しいコインが与えられるようになっています。

言い換えると、マイニングを行う「マイナー(Miner)」がブロックチェーンの維持を行うと、その報酬としてブロックチェーンがマイナーに対してコインを付与し、このコインがマイナーにとってブロックチェーン・ネットワークを維持する動機付けになるというわけです。

1-3.マイニングの問題点

仮想通貨の新規発⾏を目的として実行されるマイニングは、インフラとしてなくてはならないメカニズムとなっていますが、その最大の問題点は膨大な電力を必要とする点です。

ビットコインのマイニングにおける年間の消費電力は95.2TWhにもおよび、これはビットコインを一つの国家であると仮定した場合、世界で34番目の電力消費の規模になるとされています。こういった消費電力の問題は、クリプト業界でも解決すべき重要な項目として位置付けられており、近年では世界において再生可能エネルギーを利用したマイニングが大きな注目を集めるようになりました。

21年9月7日に世界で初となる「ビットコイン(BTC)」を法定通貨に採用した中米・エルサルバドルでは、すでに火山を利用した地熱発電を駆使してビットコインのマイニングを行っているなど、現在、サステナブルでクリーンなエネルギーの利用は世界各国において急速に進んでいます。

②再生可能エネルギーを利用するFUELHASH

2-1.FUELHASHとは

Fuelhash
FUELHASH(フエルハッシュ)とは、21年3月に設立されたクリプト関連の事業を手がける国内企業です。「クリプトを、当たり前に。」というミッションを掲げるFUELHASHでは、代表取締役CEOを務める紺野勝弥氏を中心として、「再生可能エネルギーを活用した分散型データセンター事業」および「ブロックチェーン開発」、「AIソリューション開発」といったクリプトに関連する事業を多数展開しています。また、グローバル有数である最先端のマイニングマシンの販売および運⽤を⾏っており、設⽴から9ヶ⽉間という短い期間で1,000台を超えるマシンを販売した実績があります。

FUELHASHは自身の強みとして、「市場の課題解決に直結するソリューション」、「抜きん出たハッシュレート調達力」、「1社3役の多角的知見」という三点を挙げており、これらを駆使してマイニング市場への積極的なアプローチを行っています。特に、「1社3役の多角的知見」の部分では、自身の立ち位置を「マシン販売代理店」でもあり、「マイニング投資家」でもあり、「マイニングファーム」でもあると説明しており、将来的にはマイニングプール運営にも参入する意向を示しています。

2-2.太陽光エネルギー x マイニング「FUELSOLAR」

「FUELSOLAR(フエルソーラー)」とは、FUELHASHによって開発された、再生可能エネルギーを組み合わせた一括償却できるマイニングシステムのことを指します。

FUELHASHでは、マイニングによる膨大な消費電力問題と売電価格の大幅な下落を受けて、日本国内に太陽光パネルを設置することで、そのエネルギーを利用して仮想通貨のマイニングを行うシステムを構築しました。FUELSOLARでは、太陽光パネルの設置から、難易度の高いマイニング機器の設置および運用まですべてFUELHASHが代行してくれるほか、即時償却が可能という特徴から、高い節税効果も期待できるというメリットがあります。このほかにも、再生可能エネルギー関連の補助金を受け取ることも可能なため、環境に優しいだけでなく、よりお得にマイニングを行うことができるサービスとなっています。

FUELHASHでは、このFUELSOLARサービスによって、日本国内において太陽光発電を活用した新たなマイニング市場を創出していくとしています。

2-3.水力発電 x マイニング

冒頭でも触れた通り、22年9月21日、FUELHASHがカナダのオンタリオ州において、水力発電を利用した100%再生可能エネルギーによる「ビットコイン(BTC)」の「マイニングファーム運用」を新たにスタートすることを明らかにしました。FUELHASHによると、今回設置されたマイニングファームでは、消費電力のすべてを再生可能エネルギーで賄うことができるということです。

設置場所にカナダのオンタリオ州を選択した理由としては、カナダが国家として安定している点、また、世界規模でエネルギー問題が生じている現在においても安定した電力供給ができる場所である点を挙げています。さらには、水力資源が特に豊富なこと、電気代も比較的安価なことなどから、安定したマイニングファームの運用が可能な場所であるとしています。

マイニングマシンには「BITFURY(ビットフューリー)」社が手がける5nmチップ搭載の最新型モデルを使用し、時価総額が最も大きく仮想通貨の基軸となっている「ビットコイン(BTC)の採掘を行っていくと発表しています。

FUELHASHでは、国内の投資家に対しても海外マイニングを浸透させていくため、今後も引き続き取り組みを進めていくとしています。

③まとめ

仮想通貨が広く普及した現在、マイニングはそのインフラとしてなくてはならないメカニズムとなっていますが、一方で膨大な電力を消費することから、環境などへの影響が問題視されてきました。

そんな中、FUELHASHでは太陽光や水力発電といったサステナブルなエネルギーを利用したマイニングシステムの開発・提供を行っており、持続可能な未来への取り組みを積極的に進めています。FUELHASHは今後も海外マイニング事業を拡大していく予定だとしているため、引き続きその動向に注目していきたいと思います。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12