遂にFTXが日本上陸!!Liquid by Quoine買収の影響を考察【仮想通貨取引所】

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今回は、FTXについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. FTXとは?
    1-1.FTXの概要と沿革
    1-2.創業者サム・バンクマン=フリード氏
  2. 仮想通貨取引所FTXのサービス概要
    2-1.仮想通貨取引所FTXの概要
    2-2.FTXの取り扱い商品
    2-3.FTXトークン(FTT)
    2-4.NFTマーケットプレイス
  3. まとめ

2022年2月、仮想通貨の現物・デリバティブ取引所であるFTXは、日本の取引所Liquid by Quoineの親会社リキッドグループを買収しました。今後はLiquid by FTXを通じて、2022年2月に日本ユーザーへの商品・サービス提供を行う目論みです。そこで今回は、FTXの概要や仮想通貨取引所としての特徴について解説します。今後、Liquid by FTXを通じてどのようなサービスを展開していくのかを予想してみましょう。

①FTXとは?

まず始めに、FTXについて基本概要をご紹介します。

1-1. FTXの概要と沿革

FTXは2019年5月に、MITの卒業生であるサム・バンクマン=フリード氏とゲイリー・ワン氏によって設立されました。現時点で仮想通貨の現物取引量でBinanceとCoinbaseに次いで世界3番目の規模に拡大しており、デリバティブ取引でもトップ5に入る存在感を示しています。

2020年8月にFTXは仮想通貨のポートフォリオ管理アプリである「Blockfolio」を1億5,000万ドルで買収。2021年7月にソフトバンク、セコイア・キャピタルを含む60を超える投資家から評価額180億ドルで9億ドルを調達しました。

2021年9月には、FTX社は本社を香港からバハマに移転し、2022年1月14日、20億ドル規模の新しいベンチャーキャピタルファンドである「FTX Ventures」を立ち上げています。2022年1月、FTX社はシリーズC資金調達ラウンドで評価額320億ドルで4億ドルを調達しています。

また、2021年8月にLiquid by Quoineがハッキング被害を受けた際にFTXが約132億円を融資しており、事業提携に向けた協議を開始していたと見られています。

そのほか、FTX社は数々の世界的大スターともパートナーシップを結んでおり、最近では米大リーグ・エンゼルスで大活躍している大谷翔平選手が、FTX社のグローバル・アンバサダーに就任しています。

1-2. 創業者サム・バンクマン=フリード氏

FTX社の創業者であるサム・バンクマン=フリード氏は、1992年にアメリカで生まれ、大学時代はMITで物理学を専攻しました。2013年の夏に自己勘定取引会社である「ジェーン・ストリート・キャピタル」でインターンとして働いて国際的なETF取引を行い、大学卒業後に同社で正社員として勤務しました。

そして2017年11月、仮想通貨取引会社である「Alameda Research(アラメダリサーチ)」を香港で設立。2018年1月にサム・バンクマン氏は、アメリカと比較して日本のビットコイン価格が高いことを活かした裁定取引で1日あたり約2500万ドルの取引を行っていたといいます。そして、2019年4月、仮想通貨デリバティブ取引所である「FTX」を設立し、翌月にローンチしました。

②仮想通貨取引所FTXのサービス概要

次に、海外の仮想通貨取引所として、FTXがどのようなサービスを行ってるのか解説します。

2-1. 仮想通貨取引所FTXの概要

FTXは現物取引に加えて、金融商品から派生した商品である「デリバティブ取引」を提供している仮想通貨取引所です。FTXは環境への取り組みにも積極的で、カーボンニュートラルになるようユーザーがブロックチェーン上でガス代1ドルを支払うごとに0.0026ドルを寄付しています。これは、PoWコインのマイニングにかかる費用1ドル相当ごとに0.0026ドル相当の炭素が排出されるという計算に基づいています。

2-2. FTXの取り扱い商品

①現物取引

FTXは、ビットコイン(BTC)、ビットキャッシュ(BCH)、イーサリアム(ETH)、イーサリアムクラシック(ETC)、リップル(XRP)など、40種類以上の仮想通貨を取り扱っています。

②先物取引

先物取引とは、商品を未来の「決められた日」に、取引を決めた「現時点の価格」で売買を約束する取引を指します。FTXの先物取引はステーブルコインである「テザー(USDT)」で行いますが、このメリットとして銀行口座なしで米ドル建てで決済できるという点があります。FTXの全ての先物取引でテザー(USDT)が基軸通貨となり、簡単にポジションシフトができる点も大きな特徴です。

③MOVEコントラクト

FTXのMOVEコントラクトはボラティリティ商品の1つで、ビットコイン(BTC)のボラティリティを価格に反映させた先物取引を指します。BTCの上昇や下降は関係なく、変動幅が大きいほど価格が上昇する仕組みです。

④レバレッジトークン

レバレッジトークンとは1つの銘柄に対してレバレッジがかかるトークンで、最大5種類(BULL/BEAR./BVOL/BVOL/IBVOL/HALF)存在します。レバレッジトークンを購入することにより、実質的な証拠金取引を行うことができます。

⑤インデックストークン

インデックストークンはFTXの上場通貨について、カテゴリー毎にエクスポージャーを得られる金融商品です。Altcoin / Midcap / ExchangeTokens / Privacy…などアルトコインの複数銘柄をまとめたインデックス連動トークンを指します。

⑥株式のトークン化取引

FTXは、2020年10月からTokenized Stocks(トークン化した株式での取引)の提供を開始しています。主にTesla・Apple・Amazonなど米国の優良企業やアリババなどの中国企業株について、1株未満から購入することができます。1株購入額の水準が高い「値がさ株」を手軽な価格で購入することができるメリットがあります。

2-3. FTXトークン(FTT)

FTXでつくられたオリジナルの取引所トークンを「FTT」と言います。FTTは2022年2月7日時点で、時価総額約63.9億ドル、時価総額ランキング27位と、上位にランクインしている仮想通貨で、注目を集めています。

FTTを保有することでFTXの取引手数料が割引される利点があり、上限はあるもののFTTを多く持つほど割引率は大きくなります。また、FTXではFTTのステーキングが可能で、アフィリエイト報酬の増量・手数料還元あどの特典があります。そのほか、FTXでは全取引手数料の1/3に相当する額をFTTの買い戻しとバーンに使用しており、FTTの価値上昇につなげています。この取り組みはFTTの総量の半分がバーンされるまで継続される見込みです。

2-4. NFTマーケットプレイス

FTXは仮想通貨取引所の中でも早期にNFTマーケットプレイスをローンチしており、当時としては先進的だったTシャツやオブジェなどの実物と紐づいたNFTを取り扱っています。また、出資先でもあるSTAR ATLAS用のスキンなど若者が好むアイテムが多く、FTXのマーケティング効果を発揮しています。

③まとめ

今回のリキッドグループの買収により、FTXの日本でのサービス提供が本格的に始まります。FTXが行っているすべてのサービスを日本で展開することは規制の問題で難しいでしょう。しかし、NFTの分野は海外同様の作品が国内でも購入しやすくなる可能性は高い、と筆者は考えています

買収は3月に完了する計画です。FTXの参入により、日本における仮想通貨取引所の競争はさらに激化し、業界全体のサービスの向上が期待できるでしょう。FTXの今後の動きに引き続き注目していきたいと思います。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12