今年5月に日本の総合エンタテインメント企業エイベックスのグループ会社であるエイベックス・テクノロジーズは、NFT事業でEnjin Pte. Ltdとの提携を発表しました。デジタルコンテンツに真正性を持たせるためにNFT(ノンファンジブルトークン)を活用する計画です。
Enjin社はNFTを発行・管理・取引できるブロックチェーン技術を用いたエコシステムを展開しており、その分野で先駆的な立ち位置にあります。Enjinプラットフォームで利用可能な仮想通貨エンジンコイン(ENJ)も急成長を遂げており、国内の仮想通貨取引所ではGMOコインやコインチェックに上場しています。今回はNFT分野で注目度の高いEnjinプロジェクトについて解説します。
目次
①Enjin社とは?
まずはEnjinプロジェクトを推進するEnjin社について解説します。Enjin社は2009年にシンガポールで設立されました。当初はゲームコミュニティ事業を手がけており「Enjin Network」というゲームコミュニティ・プラットフォームの運営からスタートしています。当ゲームコミュニティは創業から10年間で2,000万ユーザーを超えるプラットフォームに成長しています。
Enjin社の創業メンバーは、コンピューターサイエンスで世界トップクラスのロシア・サンクトペテルブルグ州立電気技術大学出身のマキシム・ブラコフCEOやウィテック・ラドンスキーCTOです。現在Enjin社は地理的に分散した開発チームへと拡大しています。
同社は現在、ゲーム開発・運営企業向けのSDK(開発キット)を提供するなど、Enjinプラットフォームを中心としたゲーム内アイテムのNFT化ツールやNFTマーケットプレイスの導入を促進し、Enjinエコシステム(経済圏)拡大を目指しています。
②Enjinプロジェクトの5つのプロダクト
EnjinプロジェクトはNFTアイテムの保存、交換、売買が個人間で簡単にできる世界の実現を目指しています。そのためプロジェクトはDapps(分散型ブロックチェーンアプリケーション)やNFT関連分野のインフラとなる以下のようなプロダクトを提供しています。
- ブロックチェーンゲームの基盤(Enjin Platform)
- ウォレット(Enjin Wallet)
- NFTマーケットプレイス(Enjin Marketplace)
- 送金手数料:ガスフリーでNFTを発行できる高速ブロックチェーン(JumpNet)
- QRコードを使用した次世代型マーケティングツール(Beam)
これらの基盤やSDKなどのソフトウェアを利用することで、企業の開発者がブロックチェーンのコーディング不要でNFTの運用に必要なツールを導入できる仕組みとなっています。
イーサリアムのスケーリング技術JumpNet
2021年に入り高騰し続けるイーサリアムのガス代がNFT発行の大きな障害となっていました。4月にEnjinは取引手数料(ガス代)無料でNFTを発行し、大量に配布できるスケーリングソリューションJumpNetをリリースしています。公開後すぐにマイクロソフトやバイナンスなど50以上のパートナー企業がJumpNetの利用を開始しています。JumpNetはブロックチェーンゲームとNFTのプロジェクトの普及が加速するための基盤となるかもしれません。
③Enjinプロジェクトが描く未来
Enjinプロジェクトはどのような未来を描いているのでしょうか?最も早期に実現しそうな構想は、スマートフォンを利用したNFTのパーソナルユースです。
スマートフォンにアプリケーションをインストールし、写真などのデジタルデータをアップロードするだけでNFTが発行される仕組みが考えられています。現状でもNFTマーケットプレイスのWebアプリケーションを使用して同様のことができますが、EnjinプラットフォームはNFTの発行が無料である点で有利です。
Enjinのツールが普及すれば誰もが簡単にNFTを発行しNFTマーケットプレイスで売買したり個人間で交換・売買ができるようになるでしょう。
独自ブロックチェーンのEfinity
Enjinの中で特に大規模なプロジェクトが「Efinity」です。EfinityはPolkadotを用いて開発されるNFTのためのEnjin独自のブロックチェーンです。Polkadotは別々のブロックチェーン間の資産運用が可能なインターオペラビリティ(相互運用性)技術を特徴とします。Efinityはこれを活かし、NFTを相互利用できる高速プラットフォームを公開する計画です。
④まとめ
Enjinプロジェクトは、ゲームユーザーコミュニティを運営し続けてきた経験から、エンドユーザーのニーズをよく理解しています。また、イーサリアムのスケーリングソリューションを開発するなど、技術面にも優れています。エイベックス・テクノロジーズ社を始め今後も大手企業との連携が期待されます。今後、NFT市場の拡大とともに、Enjinプロジェクトも注目度を高めていくでしょう。
Enjinプラットフォームが広く利用されるようになれば、ユーティリティコインである仮想通貨エンジンコイン(ENJ)の需要も高まることが期待されます。日本でENJを取り扱っている仮想通貨取引所は、コインチェックとGMOコインです。エンジンコイン(ENJ)への投資を検討している方は、まずは取引所の口座開設を済ませておきましょう。
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中島 翔
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