【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】DeFi分野の現状と課題、今後の展望

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今回は、DeFi分野の現状と課題、今後の展望について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. DeFiとは?
  2. DeFiの種類と主要なアプリケーション
  3. DeFiの可能性と課題
  4. DeFiの今後
  5. まとめ

DeFiは現在、ブロックチェーン技術のユースケースとして最も利用されている重要な分野となっています。今回はDeFiの現状と今後の展望について解説します。

①DeFiとは?

まずはDeFi(ディーファイ)とは何かという点について解説します。DeFiとは(Decentralized Finance)の略で直訳すると非中央集権型金融となり、日本語では分散型金融と訳されることが一般的です。

分散型金融を理解するためには、現在の中央集権型と呼ばれる金融の仕組みの理解が必要です。

例えば誰かに送金をしたい場合、従来の金融制度下では主に銀行が提供する送金システムを利用することになります。金融機関の窓口で現金を振り込む場合もありますが、基本的には自分の銀行口座を用意して、送金相手も銀行口座を持っている必要があります。

銀行口座の課題として、利用が営業日に限られることが挙げられます。最近はオンラインバンキングが発展をしているものの、メンテナンスなどで数時間使えなくなる場合はあります。さらに金融機関が管理する仕組みは、システムダウンやハッキングなどのリスクもあります。国際送金の手数料も安いものではありません。

そもそも、世界人口の1/3は銀行口座を持っていない(アンバンクト)のが現状です。日本において銀行は非常に信頼されていますが、世界では銀行サービスが十分に行き届いていない地域もあります。

DeFiはこうした課題を解決するものと期待されています。分散型金融は現状の金融機関のように中央集権的な管理者が必要ない仕組みです。ブロックチェーン上に資産を保存し、スマートコントラクトで動くアプリケーションを介して、透明性の高い金融サービスが操業されます。

②DeFiの種類と主要なアプリケーション

次に現在のDeFi関連サービスについて簡単に解説します。

  1. DEX・・・スマートコントラクトで動作する、管理者のいない分散型取引所。Ex, Uniswap(ユニスワップ)
  2. レンディングプラットフォーム・・・仮想通貨の融資や借入をスマートコントラクトで利用する仕組み。Ex, Compound(コンパウンド)
  3. イールドファーミング・・・レンディングプラットフォームに自分の資産を預け、金利を受け取る仕組み。Ex, Aave, Compound
  4. 流動性マイニング・・・上記プラットフォームの流動性プールに資産を提供することで、運営に貢献し報酬としてガバナンストークンを受け取る仕組み。Ex, Sushiswap、Aave, Compound
  5. 分散型保険・・・保険の仕組みを自動化し、トークン所有者の投票などにより保険の支払いを決定する仕組み。Ex, Nexus
  6. 分散型デリバティブ・・・デリバティブ商品とトークンを紐づけデリバティブ売買をユーザーが可能とする仕組み。Ex, Synthetix, dydx, uma
  7. 分散型ステーブルコイン・・・米ドルなどの価値に固定された仮想通貨を、高い透明性の元で作成できる。Ex, DAI, FEI, SUSD

③DeFiの可能性と課題

次にDeFiの可能性と課題について解説します。DeFiが持つ可能性を一言で言うと「より自由な金融の世界が開ける」ということでしょう。

現在の金融の仕組みは数百年続く歴史の中で信頼を築いてきた銀行が中心となって作られていますが、DeFiが発展すると第三者の仲介を必要とせずに個人同士の金融取引が実現します。DeFiが健全な発展を遂げれば、スマートフォンさえ持っていれば誰もが金融サービスにアクセスできる世界が実現する可能性があります。

また、クラウドファウンディングのような仕組みの浸透や資金繰りに困ってる人を銀行の与信管理なしに助け合うような仕組みもできていく可能性もあります。

一方でいくつか大きな課題も残っています。

DeFi分野に関連する最も大きな課題は法律的な問題です。分散型金融においては責任の所在が明らかではないため、全ての取引はユーザーの自己責任のもと行われます。実際にDeFiに関連した詐欺事件も多く、各国の金融監督機関も早い段階で規制に乗り出すことが予想されます。自由な経済活動がどこまで認められるかは国によって大きな違いが生じる問題です。DeFiに寛容な国とそうではない国に二極化される可能性もあります。

また、イーサリアム・ブロックチェーンはスケーラビリティ問題を抱えており、取引コストの高騰とネットワークの混雑が課題となっています。さらに、ユーザーインターフェースや操作性に難点があり、DeFiの参入障壁となっています。

このようなリスクと利便性を加味して、多くのユーザーが中央管理型のサービスを利用し続けています。

④DeFiの今後

現在、このDeFi分野の一角であるイールドファーミングや流動性マイニングに投資することで、他の金融商品にはない高利回りが実現しています。まさにブームですが、この流れが今後も継続するとなると、イーサリアムやDeFi関連コインの価格は今後も上昇していくと予想されます。

今後、Compoundなど主要なDeFiサービスを仲介して、金融商品の販売やDeFi関連サービスの提供をする企業が出てくると考えています。このように新たなDeFi関連のサービスが次々とローンチし、市場の注目が高まるほど、資金を集められることになります。 イーサリアムの価格も上昇しやすい地合いとなるでしょう。

⑤まとめ

仮想通貨の世界は走りながら考える世界のため、アイデアを実行するスピードが速く法整備が追いついていないのが現状です。今後、何度か規制の壁にぶつかることもあるとは思われますが、DeFiの持つ革新性をうまく活かしながらこの分野が発展していけるかが注目する点でしょう。

資産運用のひとつの手段として、レンディングサービスや流動性マイニングなどに興味をもたれた方はまずは国内の仮想通貨取引所でイーサリアムを購入することから始めると良いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12