仮想通貨冬の時代に行うべきことは【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】

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今回は、仮想通貨冬の時代に行うべきことについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ビットコインの足元の状況
  2. 冬の時代に行うべきこと
    2-1.短期的な値動きは狙いに行かない
    2-2.トレンドが回復するまでとにかく待つ
    2-3.自分自身のポートフォリオを見直す
    2-4.2018年のデータと今年のデータを比較して分析する
  3. まとめ

暗号資産(仮想通貨)市場は今年の年初あたりから下落基調が続いており、一体どこまで下落するんだろうと世界が不安になっている状況で、投資家の皆さんも足元の下落で相当損失が出ているという声も聞かれています。

世界の株式市場もNASDAQで年初から30%以上の下落を見せており、インフレが止まらない状況なことから、仮想通貨市場も弱気相場を脱することができていません。ビットコインは株式市場との相関関係が高いこともあり、仮想通貨の投資家も株式市場に目を向けている方も多いでしょう。

ここでは投資初心者向けに、仮想通貨の冬の時代にどのようなことを行うべきか、アドバイスとして解説していきたいと思います。

①ビットコインの足元の状況

ビットコインは昨年の11月に68,000ドル(750万円)付近まで上昇していましたが、そこから下落トレンドが現在まで続いており、一時18,000ドル(255万円)付近まで下落していました。

仮想通貨市場もここまでの下落は見込んでいなかったこともあり、現在様々な仮想通貨取引所を始めとする関連企業の人員削減が進んでおり、資本に余裕がない企業は淘汰される動きが加速しました。また、これまではビットコインを採掘してホールドしていたマイナー勢も売り側に回る場面があり、現物の売りも入りつつ価格は下落してきています。

2017年強気相場の天井圏に当たる20,000ドル近辺では大口のクジラと呼ばれる投資家が現物で買いにくる動きも散見されており、一旦は下げ止まりの動きが見られているというのが現状のマーケットとなっています。

②冬の時代に行うべきこと

このような状況で、実際にビットコインのトレードを行う際に、どのようなことを考えておかないといけないのか、トレーディングの初心者の方向けに説明します。

2-1.短期的な値動きは狙いに行かない

目下の状況で、初心者が短期的な値動きで利益を狙うのは避けるべきでしょう。売り(ショート)から入るレバレッジ取引に手を出して、利益確定や損切ができないために結局損をしてしまうケースが考えられます。

一般的に、投資というと、「買い」からエントリーして資産価値が高くなったら「売る」を連想しますが、FX(外国為替証拠金取引)のように証拠金を担保に資産を借りて、「売り(ショート)」からエントリーする方法があります。高値で売って価格が下落した時に買い戻すことで差額で利益を得る、レバレッジ取引の一つの手法です。

証拠金の最大2倍の資産を売買できるので、初心者はその損益の動きに心理的負担が大きくなり、細かく利益を確定してしまう傾向があります。しかし、損失が出ている時には損切りができずに放置してしまい、レバレッジがかかっていることから損失が拡大してしまうという結果に陥りやすいです。

またビットコイン以外でも短期的なトレードというのは騙しと呼ばれるチャート上の動きが頻繁に発生してしまいます。特に、ビットコインは値動きが他の投資対象と比較して大きいので、初心者がリスク管理を行うにはとても難しいものです。短期的に利益を取りに行くようなトレードは控えた方がいいでしょう。

2-2.トレンドが回復するまでとにかく待つ

次に大事なことは「とにかくトレンドが変わるまで待つ」ということです。

現在のビットコインの価格は高値から70%以上下落しています。ここからさらに下落方向で攻めるというのはリスクリワードから考えると得策ではないでしょう。では、どこかでビットコインを買って行くかという戦略になりますが、あまり細かなことを考えても正直難しいというのが現状のマーケットです。

そのため、使える資金があれば夏場にかけてゆっくりと現物ビットコインを購入しつつ、明らかにトレンドが転換したと考えたタイミングで、レバレッジ取引でロングポジションを増やす、というスタンスでいいでしょう。ビットコインの歴史の中で、弱気相場は何度も経験してきました。弱気相場の間に余裕のある範囲でビットコインを買っておく、それだけで次の強気相場で利益を享受できます。

また、仮想通貨でも現在では色々な通貨が誕生しており、仮想通貨市場が盛り上がった時にはビットコインよりも値幅が大きいアルトコインもあり、利益が大きくなりやすいことがあります。2021年の強気相場ではソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、バイナンスコイン(BNB)などが大きく上昇しましたが、全部がどのアルトコインが良いかは実際のところわかりません。そのため仮想通貨でもビットコイン一つに絞らず、いくつか有望そうなアルトコインに分散投資を行っておくといいでしょう。

無理な金額の購入は心理的に良くないため、自身が購入できる範囲で時間分散と通貨分散を両方行うようにしましょう。要点は、今はトレンドが変わるまで待つということです。

2-3.自分自身のポートフォリオを見直す

次に行うべきことは現在のマーケットというのは複雑化しており、もしも資産運用でポートフォリオを構築している場合は一度見直すことをおすすめします。

これはビットコインだけに限らず、投資信託や株、債券やコモディティ、為替等全てに影響するものですが、現在は緩和相場から一気に金融引き締めに転じており、去年とは大きく市場動向が変化してきています。そのため同じポートフォリオで安全な組み入れをしているかもと思っても、今年は異なる局面となっているかもしれません。去年ビットコイン含めて仮想通貨をポートフォリオに入れることができなかった投資家にとっては、今のビットコインの水準からゆっくりとリバランスしてポートフォリオに入れていってもいいかもしれません。

色々見直すいい機会でもあるため、この時期にゆっくりと数年スパンでどうするべきか考えてみるのもいいでしょう。

2-4.2018年のデータと今年のデータを比較して分析する

初心者にとっては大変かもしれませんが、仮想通貨は2018年に一度バブルが崩壊して、冬の時代を経験しています。その時のデータを振り返って確認してみるのもいいでしょう。

ピークをつけた時のウォレットの動き方、価格の崩れ方、そして底をつけた時の変化等色々な点がヒントになると思います。どのようなデータを参照すべきかは過去の記事で見方を解説しているため参照ください。

主要な金融市場とビットコイン市場の相関関係、ポートフォリオの組み方について

【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】オンチェーンデータでのファンダメンタルズ分析

過去の傾向が当てはまるわけではありませんが、過去をヒントに相場は作られてくるものでもあるため、しっかりと分析すれば有益性の高い情報が自分の中で得られるかもしれません。注意すべき点は過去と同じチャートは描かないため、同じ癖があると判断して信じ込んでトレードしないようにしましょう。確率が高くても常にリスク管理はしっかりと行うことが大事です。

③まとめ

ここでは初心者が仮想通貨投資をこれから行うにあたって冬の時代を迎えている中、何を行うべきか筆者の目線から解説しました。色々と行ったほうがいいことはありますが、最低限上記の内容は調べて行ってみるといいでしょう。

最後に伝えておきたいことはトレードは知識ではなく「リスク管理」が最も重要です。断定的な表現かもしれませんが、リスク管理、メンタルコントロールで成功するか失敗するかは分かれます。是非その言葉を頭に入れて仮想通貨投資の世界を楽しんでもらえると嬉しいです。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12