【元トレーダーが解説】暗号資産投資をする前に知っておくべき用語・後編

証券会社を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. ATH(オール・タイム・ハイ)
  2. ATL(オール・タイム・ロー)
  3. ROI(リターン・オン・インベストメント)
  4. 用語は常に調べて蓄積していく

暗号資産(仮想通貨)トレードをしていくと、普段聞きなれない用語も出てきます。特に、トレードの経験のない人にとっては金融関連の用語は難しく感じるのではないでしょうか。そこで暗号資産トレードをする前に知っておくと便利な用語を解説していきます。ここでご説明する用語を知っておくことで、よりスムーズな暗号資産トレードが可能になるかと思います。

暗号資産トレードをする上で、ニュースからファンダメンタルに関する情報も収集することが大切です。日々の暗号資産関連ニュースを読む際にスムーズに理解するためにも、今回ご紹介する用語をしっかり押さえておきましょう。

①ATH(オール・タイム・ハイ)

ATHはオール・タイム・ハイの頭文字を取ってできた用語です。これは、「過去最高値」ということです。例えば「ビットコインのATHは2017年の12月の2万ドル」というような使い方になります。

暗号資産は特性上、流動性がまだ暗号資産市場全体で見ても他のアセットクラスと比較して低いためボラティリティが高いです。その上、日々新しいプロジェクトが立ち上がり、中には有名企業とのパートナーシップで価格が高騰し、ATH(過去最高値)を更新することも珍しくありません。

また、ある銘柄が過去最高値を記録するというのは、その銘柄が上昇トレンドであることを意味しています。過去最高値を迎える前からその資産を保有していた全ての人に、評価益が出ていることになります。

また重要なATHの特徴は、レジスタンスラインがなくなっていることです。通常のチャートは直近高値と直近安値がそれぞれレジスタンスラインとサポートラインとなり、その範囲(レンジ)内で価格が推移します。また、レジスタンスラインを突破しても、さらに長い時間軸でみると、別のレンジが存在します。

つまり、価格は日々変動しながらも、何かしらのレンジの中にあるのが普通です。それがATHの場合、価格の上昇を抑えるものが何もない状態になります。この時、ATHを迎えた銘柄の取引ボリュームが上がるという現象も伴う傾向があります。日頃その銘柄をトレードしていない人もATHのニュースを、レジスタンスの無い相場でチャンスを狙いに集まるためです。

では、ATHを突破した銘柄はそのまま上昇し続けるのでしょうか。もちろんそういう訳ではありません。既にその銘柄を保有していた人は、どこかで利益確定の注文を入れるケースがほとんどです。

どこで利益確定をするかは人それぞれですが、各々が狙いの価格を決めており、成り行きや指し値注文で決済します。そのため、暗号資産が過去最高値を記録した後に急な下落が続くのが一般的です。

過去最高値を更新した銘柄でトレードするにしても、このような急落を見据えた戦略を前もって考えておくと良いでしょう。

②ATL(オール・タイム・ロー)

ATLはATHの逆で、過去最低値の事を指していいます。何らかのアセットが過去最低値を記録した場合、ATHと似たような現象が起きます。

レンジ相場ではレンジの下限であるサポートラインの上で価格が推移しています。下方向にレンジブレイクをした銘柄も、時間軸を高くするとより大きなレンジ内で価格が推移しています。

しかしATLの場合、どこまで下がるかわかりません。また、ATLもATHも同様に、レンジを挟む最高値と最低値周辺に逆指値注文を置くトレーダーが多くいます。つまり、「この値段を下回ったらショートポジションを持とう」と事前に決めているわけです。

そのため、一度ATLを下回るとそれらの注文が次々と通っていくので急激な値動きが予想されます。この時、価格がどこまで下がるかは先述したように予想するのが不可能です。このような局面では、何の根拠も無く逆張りの買い注文を出すのは非常に危険と言えます。

ただし、ATHと同様にATLを更新し続ける下落トレンドも必ずいつか反転します。しかし、インジケーターを利用するなどして下落トレンドが落ち着くと判断できるまでは、買いの注文を控えるのが賢い選択と言えるでしょう。

③ROI(リターン・オン・インベストメント)

ROIは日本語で言うところの「投資利益率」や「投資収益率」に該当します。ROIを知る事で、ここまでのトレードの成績がよりわかりやすくなります。

また、別々のトレード履歴を比較して、どちらの方が効率よく資産を増やせたのかという運用成績も、数字に落とし込むことで分かりやすくなります。

ROIの具体的な計算式は「利益額÷投資額×100」です。例えば、投資資金50万円で現物取引をして10万円の利益が出たとします。その場合、「10÷50×100=20」ですのでROIは20%なので初期投資費用から20%の利益を得た事になります。また、ROIの式に利益額を算出する際は、取引手数料などの各種コストも考慮するとより正確な数値を計算することができます。このように投資パフォーマンスを図る用語の計算式は、頭に入れておくようにしましょう。

ただし、投資に当たってROIの伸びだけを考えるのは危険な考え方です。ROIを出来るだけ高くしようとすると、レバレッジを利用したトレードを行うという選択肢を選びがちになるからです。

そのため、一口に利益率を考えるにしても、様々なトレード戦略の違いを考える必要があります。例えば、投資期間やリスクの高さ、または投資対象の流動性が十分高いのかなども重要な指標になります。ROIは自身の投資成績を調べる際には有用ですが、これが全てというわけではない事を頭に入れておきましょう。

④用語は常に調べて蓄積していく

今回は具体的なトレードのシナリオや値動きについて触れつつ、暗号資産トレードに関わる用語をご説明しました。ATHやATLはニュースにもよく使用されるため、用語自体を覚えておくと良いでしょう。また、最高値や最低値を突破した時にどのような現象が起こりうるのかも事前に知っておいて損はありません。

特に相場というのものはレジスタンスラインやサポートラインを突破するかどうか、またそのラインが実際にどのように機能するのかどうかを見極めることが重要です。これができるかどうかで勝てる投資家になるのか決まると言っても過言ではありません。

時には「騙し」という、レンジをブレイクしてもトレンドが継続しないようケースもあります。レンジブレイク後にどのように動くのかどうかは様々な情報を集約してトレード判断をすることで、ある程度予想がつくものになります。これは初心者では難しいため、まずは常に予想を設けてトレードの度にフィードバックし、自分自身のシナリオとの違いを考える癖をつけることがとても大切です。

ROIについても、数字の裏側にある背景を知ることで自身の視野が大きく広がることでしょう。用語を知っているだけではなく、ぜひ実際のトレードに役立てて頂ければと思います。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12