ビットコインの短期的なポジションの傾きを探る方法とは?【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】

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今回は、ビットコインのポジションの傾きを探る方法について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ポジションの動向を把握する目的
  2. ポジションの傾きを把握するためにチェックするポイント
    2-1.ファンディングレート
    2-2.レバレッジレシオ
    2-2.未決済建玉
  3. 短期的なトレードを行う場合の注意点
  4. まとめ

投資の世界では仮想通貨に関わらず、投資家のポジションの動向やトレンドの方向性、ポジションの傾き等を把握して、「次どちらに動きやすいのか?」という点を常に把握することがとても大切です。

ではどのような方法で仮想通貨市場でポジションの動向をチェックするのか?という点をここで解説していきたいと思います。

①ポジションの動向を把握する目的

最初にポジションの動向を把握する目的について説明します。投資の世界でポジション動向を把握する目的は「トレンドの強さを把握すること」、そして「反転した時の勢いを把握すること」です。

ポジションは多い方向に傾く傾向があるので、これによってトレンドの強さを確認することができます。トレンドフォローで取引を行う場合は原則同じ方向でトレードを行うことが安全なトレード方法とも言えるでしょう。相場の格言には「Trend is Friend(相場は友達)」という言葉があります。投資初心者、仮想通貨初心者はトレンドに沿った方向でエントリーを行うようにしましょう。

一方、ポジションの傾きというのは将来の反転した場合の圧力となります。例としてロングポジションに大きく傾いているときに、相場が反転下落した場合、ロングポジションの人たちはどこかで決済のための売りを行わないといけません。つまりトレンドが強まり大きく傾いている時こそ、トレンドが終了し反転する可能性が強まっているとも言えるでしょう。

例として、市場に投資家が10人しか存在せず、9人がロングポジションを保有している場合は上昇トレンド中に好材料が出たとしても残り1人しか、ロングポジションを取ることができる投資家が存在しないため、上昇圧力は弱まることになります。このようにポジションの傾きを把握するということは、相場で生き残る上では必ず把握しないといけないポイントと言えるでしょう。

②ポジションの傾きを把握するためにチェックするポイント

次にポジションの傾きを把握するためにチェックするポイントを解説します。

2-1.ファンディングレート

ファンディングレートは別名「資金調達率」と呼ばれており、レバレッジ取引を行った際のポジション保有コストと考えてください。

ロングポジションが多い場合、ロングポジションを保有している投資家からショートポジションを保有している投資家に決まった金利を支払わないといけません。ファンディングレートはこのようにポジションが傾いている投資家に対して金利負担を生じさせることによって、価格の変動を抑制しようとしています。

ファンディングレートの数字は短期的なデリバティブ市場におけるポジションの傾きがどれだけ傾いているのかで変化します。例として資金調達率が+0.01%とすると、ロングポジション保有者がショートポジション保有者に対して、一定時間が経過する毎に保有しているポジション評価額の0.01%を支払う必要があるということです。もしも-0.01%だった場合は、ショートポジションがロングポジションの保有者に対して支払うことになります。

このプラスとマイナスの幅が拡大することによって、短期的にポジションが大きく傾いているのか判断することが可能となります。ポジションが傾いているということは短期的なトレンドの方向性を示している一方で、どこかでポジションは解消を行わないといけないことから、反対サイドの圧力にも変わるという点は注意点でしょう。

仮想通貨市場ではポジションが傾いていない場合は基本ロングが多いため+0.01%で推移するということが多いということを覚えておくと良いでしょう。

2-2.レバレッジレシオ

レバレッジレシオとは全体の時価総額における先物市場のポジションが何割ほどあるのかを示したものです。

レバレッジレシオが高まるとそれだけレバレッジを利用した短期的なトレーダーの割合が増加していることを意味し、どこかでポジション解消のフローが発生した場合の値幅が大きくなるということが予想できます。

レバレッジレシオは先ほどのファンディングレートと一緒に併用するといいでしょう。ファンディングレートが大幅にプラスに傾きつつある中で、レバレッジレシオが高まっている場合は、ロングポジションを構築するためにレバレッジのポジションを利用しているということがわかります。一方でマイナスのファンディングレートが拡大する中でレバレッジレシオが拡大している場合は、ショートポジションが増加しているということが理解できるようになります。

レバレッジレシオだけで見た場合には、ロングポジションとショートポジションどちらのポジションが増加して高まっているのか判断することができませんので、必ずレバレッジレシオとファンディングレートの2つの指標を併用してチェックすると良いでしょう。

2-3.未決済建玉

未決済建玉はポジションがまだ決済されていない数量を示しており、未決済建玉と価格は相関が高い動きとなります。

価格が上昇する中で、未決済建玉が増加すれば、買いの動きが強まっているということになりますが、もしも未決済建玉が増加せずに価格が上昇したり、下落したりしていれば決済のフローで短期的な値動きの範囲内であることが判断できるようになります。ポジションを落とす(決済する)という過程において、市場で反対売買を行ったフローが価格形成の一番の要因になっているためです。

トレンドが出ていれば未決済建玉と価格は順相関となりますが、トレンドではない場合は両者の関係性は薄れるということになります。

③短期的なトレードを行う場合の注意点

短期的なトレードを行う場合でも注意点があります。これは筆者の考え方でもあり、私見が入っているため必ず正しいというわけではありませんが、初心者向けにおすすめしたいという注意点を説明しているため、ご理解ください。

短期的なトレードを行う場合の注意点は「中期的なトレンドと同様の方向でエントリーすること」です。短期的にはポジションが反発しそうなデータが揃っていたとしてもトレンドが下落トレンドとなっている場合はエントリーはせず、短期的に下落するようなデータが揃っていてトレンドも下落トレンドの場合にはエントリーをしましょう。

やはりトレンドに沿ってトレードを行った方が勝率は高くなります。トレンドに沿ったトレーディングのデメリットはエントリーの回数が減少することにありますが、保守的に資産を増やしたいと思っている方の場合、最初は無理なトレードは行わずにゆっくりとエントリーチャンスを待ってからエントリーすることがおすすめです。

④まとめ

ここでは仮想通貨市場における短期的なビットコインのポジションの傾きを探る方法を解説しました。

利用できるデータはこれだけではありませんが筆者が初心者でも使いやすいと思ったものをピックアップして解説したため、興味を持った方は自身でも調べていただくといいでしょう。

トレードは千差万別であり正しいと言われる方法はありません。しかし短期トレードは初心者でいきなり行うには難しい側面もあるため、最初はスイングトレード等長めのスパンでトレードを行ってもらうことをおすすめします。

投資は自分に合ったトレードスタイルを模索する旅とも言えるため、これを楽しみながらトレードを行ってみてはいかがでしょうか?

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12