仮想通貨トレーダーが紹介!2022年の仮想通貨市場の展望とは

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今回は、2022年の仮想通貨市場の展望について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 2022年の展望
    1-1. Solana系プロジェクト(StarAtlas、Solice、Secretum)
    1-2. メタバース本格化とGameFiの増加
    1-3. The Sandbox本格ローンチ
    1-4. Polkadot(ポルカドット)のパラチェーンオークションとEnjinプロジェクト
  2. まとめ

NFTやメタバースへの注目が高まり、仮想通貨のユースケースが一歩進んだ感のある2021年でしたが、2022年にはどんな事が待っているのでしょうか?2021年はある仮想通貨プロジェクトのローンチがきっかけで急騰した仮想通貨もいくつか見られました。最近では各仮想通貨プロジェクトのアイデアが実現するスピードが早まっているため、2022年も面白い年になりそうです。

そこで今回は、「2022年の展望」と題して、2022年に注目したい仮想通貨プロジェクトなどの解説をします。

1. 2022年の展望

2021年8月にSolana(SOL)が決済通貨となっている「Degenerate Ape Academy」というNFTマーケットプレイスのローンチの際にSolanaが急騰しました。

仮想通貨の値上がり要因は様々ですが、今後は取引所への上場のタイミングの値上がりのほかにも、大きなプロジェクトのローンチなど、そのプロジェクトに採用されている仮想通貨が値上がりするケースがあります。

そこでまずは、2022年に予定されている注目プロジェクトと関連仮想通貨について整理してみたいと思います。

    【注目プロジェクトと関連仮想通貨】

  1. Solana系プロジェクト(StarAtlas、Solice、Secretum):SOL、ATLAS、POLICE、SLC
  2. メタバース本格化とGameFiの増加:MANA、ENJ、XTZなど
  3. Sandbox本格ローンチ:SAND、ENJ
  4. PolkadotのパラチェーンオークションとEnjinプロジェクト:DOT、ENJ

それぞれの詳細について、順に解説していきたいと思います。

1-1. Solana系プロジェクト(StarAtlas、Solice、Secretum)

まずは、昨年発行された仮想通貨にもかかわらずイーサリアムキラーの大本営として注目されているSolana関連の仮想通貨プロジェクトのうち、3つの注目プロジェクトについてご紹介します。

①Star Atlas【メタバース/GameFi】

Star Atlasは2620年の宇宙をモチーフとしたメタバース内で行われるマルチプレイヤーオンラインゲームのGameFiです。ダイヤモンドでできた惑星の探索をメインに人類、エイリアン、アンドロイドの主要な派閥と職業を選択し、チームを組んで勢力を拡大したり、スペースシップに乗り込んで戦闘を行います。ゲームの自由度が非常に高く設定されており、ある惑星を統治したり、マイニングしたコインを輸送したりなど、SF映画の中で実際に架空の人生を生きる事ができるような活動が可能になります。

Star AtlasがSolanaを基盤として採用した理由は、マルチオンラインゲームなどは最低でも40万TPS、できれば100万TPSのトランザクション処理速度が要求されると言われている中で、Solanaのトランザクション処理の速さにあります。

メタバース内の通貨として使用される仮想通貨として、スターアトラス(ATLAS)、DAOの機能を持つトークンとしてPOLISが使用されます。どちらもSolana上で発行されるSPL規格のトークンで、ATLASはインフレ型であるのに対し、POLISは総発行量が制限されています。

また、ゲームアイテムやLANDとなるNFTにはSPL以外の2種類のトークン規格が使用されています。

②Solice【メタバース】

Soliceは、Solanaブロックチェーン上に構築されたVR対応メタバースです。Soliceのメタバースでは、プレイヤーはさまざまなペット、宝石、その他の収集品をNFTとして収集できたり、収集品のほかにも自分の資産やミニゲームを作成し、土地区画の上に構築することもできます。また、メタバースに積極的に参加することで、ユーザーは、クエストの完了、ダンジョンのクリア、リーダーボードへの到達に対する報酬として、トークンやその他のNFTレアアセットを収集できます。

Soliceにおいても、DecentralandやThe Sandbox同様のデジタル土地区画としてNFT化されたLANDが存在し、LANDのオーナーはその土地を使用して自由な経済活動が可能です。SoliceのLANDは15m×15mで構成され、LANDの数は60,000個からなり、SoliceのトークンであるSLCで売買される予定です。LANDオーナーは土地を所有するだけでSLCのステーキング報酬が得られ、レアな素材や材料を得る事ができる機会を手にする事になる点がこれまでのメタバースのLANDと異なります。

Soliceで使用されるトークンはSolice(SLC)と呼ばれるSPLトークンで、NFTマーケットプレイスでのNFTアイテムやメタバースのインワールド購入に使用できます。 SLCは多機能なガバナンストークンで、プライベートおよびパブリックセールの販売中に割り当てられ、コアチーム、ステーキング報酬、およびコミュニティの財務に一定の割合が設定される予定です。

③Secretum【Web3.0/SNS】

Secretumは、Solanaブロックチェーン上に構築されるMessengerアプリです。

現在のMessengerアプリの問題は中央集権的な運営体制にあることで、通信のすべてが中央管理者がすべて把握できる状態にあり、サーバーもハッキングの対象となりやすいことがあります。また、その情報発信者の身元が明らかになっている点や相次ぐ情報流出など、情報管理上の脆弱性にも課題が指摘されています。

旧Facebookにおいては、WhatsAppが2021年9月にデータ処理とデータ共有違反で2億5,500万ユーロの罰金を科され、Facebook Mes​​sengerが2021年4月に5億3,300万人のユーザーの個人データが漏洩しています。こうした点を問題視し、ブロックチェーン技術を利用して、プライバシーを保護を実現しようとしているの動きがWEB3.0です。

Secretumは、完全にプライバシーを保護した形でのメッセージのやり取りと、仮想通貨とNFTのウォレットとしての機能を提供します。

最近では中央集権型の仮想通貨取引所から分散型のDEXでの取引に移行する動きが始まっていますが、現状のDEXにおいてはブラックハッカーに対する脆弱性があります。そこでSecretumを利用することで、プラットフォームの表示とは別に、実際の資産のやりとりをDEXを介さずにP2Pで行う形にすることができ、このDAppsだけで仮想通貨やNFTのやりとりを完結させる事で最も安全な取引を実現できるようになります。また、すべてのSecretumノードは相互接続され、検証プロトコルを導入することで、攻撃に対する100%の耐性があるとされています。

Secretumにサインインするために必要な情報は、Solanaウォレットのアドレスのみで、メッセージ通信は中央サーバーを経由せずにSolanaベースのブロックチェーンネットワーク上の信頼できるノードを介してのみやり取りなされる仕組みです。 具体的にはスキームとしては、メッセージが発信される段階でエンド端末のアプリケーションが乱数を生成し送信相手の公開鍵で暗号化をします。暗号化された情報が送信相手に伝わると、送信相手のアプリケーションが秘密キーを利用して、メッセージの解読行います。つまり、 それぞれのエンド端末同士で暗号化をし、ブロックチェーンネットワークを通じたやり取りを行うことで、ネットワーク内の通信の秘密を守る仕組みとなっています。

SecretumのOTCプラットフォームとしての機能は、Secretumユーザーのウォレットとの間で仮想通貨を直接送受信「インスタントトレード」、規格の違うトークンを扱える「マルチウォレット」、仮想通貨の種類、ボラティリティ、リスク傾向、リターン目標、および時間枠の観点から、トレーダーの個々の好みに応じて設計できるAIを利用した取引アルゴリズムを開発することも可能な「トレーディングアプリケーション」が開発される予定です。

1-2. メタバース本格化とGameFiの増加

2021年の11月頃からブロックチェーン技術をベースとしたメタバースが注目を集めています。現在、最も先行しているメタバースは、「Decentraland」と「The Sandbox」です。Decentralandは既に一般公開されて、Sotheby’sがメタバース店をオープンするなど開発が進んでおり、The Sandboxも12月にALPHA版がローンチされたばかりで、来年には本格的に始動する予定です。

他にもSolanaを利用したメタバースやBSCを利用した「ERTHA」(エルサ)などの人気を集めそうなプロジェクトが複数ありますが、メタバース関連の話題として気になる話題が、世界第3位のUbisoftによるNFTとメタバースへの進出です。2021年12月にUbisoftはテゾスと提携し、Ubisoftの人気ソフトの一つである「ゴーストリコン・ブレイクポイント」のアイテムをNFTとして配布し、「Ubisoft Quartz」というNFTマーケットプレイスもローンチしました。現在は、ベータ版として、アメリカやヨーロッパなどの地域限定で開始されていますが、既存の人気タイトルを抱えるゲーム会社による人気タイトルのメタバース化は、仮想通貨プロジェクトにとっては脅威となるとともに、仮想通貨業界全体にとっては、キャズム(普及する前の溝)を超えるいいきっかけとなる可能性もあります。

UbisoftのNFTアイテムは、「Digit」と名づけられ外部のNFTマーケットプレイスでの売買も可能です。Digitが持つユニークな特徴として、各NFTアイテムにシリアルナンバーを表示させることが可能で、シリアルナンバーはゲーム内でも表示されます。シリアルナンバーが付与されることで、シリアルナンバーと自身の好きな数字や誕生日を合わせる楽しみや、Eゲームのチャンピオンが利用したアイテムであることが明確になるなど、NFTの負荷価値を高める役割を果たしそうです。

Ubisoftによるブロックチェーン関連の取り組みはまだ始まったばかりで、今後の構想としてメタバース構築を考えているようです。世界的に人気のあるゲームタイトルの多いUbisoftが、シリーズに分散しているゲームタイトルを一つにまとめてメタバース化などをするということも考えられるでしょう。例えば数多くのゲームタイトルが発売されているトム・クランシーシリーズなどをひとつのメタバースとして作り上げるだけでも、世界中のFPSファンが継続的にアクセスすることが予想されます。

GamiFi化されたメタバースの要件として、 ゲームアイテムがNFTとして取引できることはもちろんのこと、大切な要素として、ゲーム内でマネタイズができるP2E(Play to Earn)があります。この仕組みをどのように取り入れるかに関しては現在検討中だと思われますが、例えばプレイ自体は無料とすることで多くのユーザーを取り込み、NFTアイテムの販売から得られる収益を原資に倒した敵の数による報酬や、ミッションをクリアすることによる報酬制度などの構築は容易に考えることができます。

日本でもゲーム会社大手のスクエア・エニックスによるNFTの進出もありましたが、ドラゴンクエストやファイナル・ファンタジーの世界をGameFi化すれば多くのファンを呼び込め、新しい仮想通貨ユーザーが増加する事につながるでしょう。しかし、多くの従業員を抱えるゲーム会社にとって、中央集権型のビジネスモデルから分散型への以降は容易ではありませんが、ブロックチェーンを基盤としたGameFiにユーザーを奪われる可能性もあります。その狭間の中でどう時代に適応していくかという点がゲーム開発会社にとって大きなテーマとなっていきそうです。

1-3. The Sandbox本格ローンチ

Enjinプロジェクトがサポートする「The Sandbox」のALPHA版が2021年11月20日から12月20日までの期間限定で公開されました。ALPHA版では、The Sandboxのメタバースの一部を限定公開される形でしたが、The Sandboxの世界観を十分に体感することのできるクオリティの高いコンテンツが公開されました。The Sandboxは、Decentraland同様にユーザー登録するだけで誰もが無料でThe Sandboxのメタバースで遊ぶことが可能な仕組みにしています。

また、ALPHA版の公開に合わせて「ALPHA PASS」という5,000個限定発売の特典付きパスポートが販売されました。ALPHA PASSの特典内容としては、ALPHA版で公開されているすべてのミニゲームの使用と、クエストを完了することで最大1,000SANDの報酬の獲得と3個のNFTレアアイテムが獲得できるパッケージ内容となっています。

ALPHA PASSを手に入れる方法は3つ用意され、LANDオーナーの場合は、「The Raffle」に登録して抽選に当たった場合に手に入ります。2つ目の方法はALPHA版のメタバース内の「ALPHA Hub」で行われるデイリーコンテストに参加して、抽選に当たる方法です。3つ目が、OpenSeaでALPHA PASSのオーナーから売却してもらう方法で、唯一、確実にALPHA PASSを手に入る方法でした。ALPHA版公開期間中のOpenSeaの取引では、約5,000ドルのプライシングがなされていました。特典に含まれるクエストをコンプリートする事により、1,000SAND、当時のレートで$5,500程度が手に入る事を考えると妥当なプライシングがされていたと言えます。

今回のALPHA版の意義としては、これをきっかけにThe SandboxのP2E(Play to Earn)がスタートしたことです。ALPHA版のP2Eの仕組みとしては非常にシンプルで、 いくつかのクエストが用意されておりそのクエストを完了することで、最大1,000SANDの報酬が獲得できるというものです。今後は、クエストの完了や大会での入賞、他のプレイヤーとの対戦に勝利することで報酬をSANDでいられるようになっていく事が予定されています。

2022年のThe Sandboxの今後の主な予定について、 ロードマップを元に時系列で解説します。

  • DeFiステーキングの開始
  • First P2E Season
  • 高品質の体験が提供できるLANDオーナーへのメタバースの特典提供
  • DAO(分散型組織体制)の立ち上げ
  • バーチャルコンサートと人気ゲームタイトル「ウォーキングデッド」のローンチ
  • モバイル版のローンチ

2022年の早い段階で、P2Eの第一シーズンがスタートし、クオリティの高いゲームを厳選してメタバースを解放していき、 夏頃にはバーチャルコンサートと人気ゲームタイトルのウォーキングデッドのローンチがなされる予定です。

The Sandboxの強みとしては、スクエア・エニックスなどゲームの運営ノウハウを持つ企業から投資を受けていることや、The Sandbox自体がすでに人気ゲームであったため、The Sandboxの固定ファンをメタバースにも誘致しやすいというアドバンテージを持っている点です。また、Voxelアートのクオリティも高く、コンバーターを使うことで同じくエンジンブロックチェーンを利用している「Minecraft」(マインクラフト)との互換性もあり、両者のユーザーのクロスユースなども考えることができます。

今後、予定されているそれぞれのイベントのタイミングで、SANDやENJの価格上昇も考えられるため、The Sandboxは2022年も引き続き注目していきたいと思います。

1-4. Polkadot(ポルカドット)のパラチェーンオークションとEnjinプロジェクト

Web3.0の時代の主軸を担う可能性が高いポルカドットの本質が試されるテストがスタートしています。これは異なる規格のブロックチェーンを結びつける「インターオペラビリティ」に関するものです。

ポルカドットブロックチェーンではインターオペラビリティの仕組みとしてパラチェーンが使用されます。パラチェーンとは、ポルカドットのメインチェーンであるリレーチェーン(Relay Chain)に接続しているシャドウチェーンの事で、リレーチェーンとトランザクションを並列処理することからパラチェーンと名付けられています。

より具体的に解説すると、パラチェーンとしてつながるブロックチェーンは、ビットコインでもイーサリアムでも良く、パラチェーンを介してリレーチェーンと繋がることで、結果的にパラチェーン同士が繋がり、ビットコインとイーサリアムなど、本来はやり取りのできない異なるブロックチェーン化のやり取りが可能になるというイメージです。

現在、ポルカドットのパラチェーンは、「KUSAMA」と呼ばれるテストネットで行われていますが、KUSAMAパラチェーンには「スロット」と呼ばれる枠があり、現在のところ100個に限定されています。このスロットは、クラウドローンという方式での投票に近い仕組みにより獲得する必要があります。パラチェーンオークションの1回目は、12月18日に終了し、日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」など5つのプロジェクトがスロットを獲得しています。

現在のポルカドットプロジェクトのステージは、メインチェーンのロールアウトとパラチェーンのロールアウトが完了し、パラチェーンが順調に稼働されていることが確認されたため、現在は、スロットオークションとクラウドローンが実施されています。

次回のパラチェーンオークションは12月23日頃より開始される予定で、2回目は全6回の予定で、クラウドローンが行われ2022年3月11日頃に6つのプロジェクトがパラチェーンに接続される予定となっています。まだ当分先の話とはなりそうですが、パラチェーンのスロットオークションが完了するとクロスチェーンメッセージパッシングへのアップグレードとパラスレッドの起動などが行われる予定です。

このアップグレードが完了するとポルカドットのオンチェーンガバナンスがコミュニティによって有効化される予定となっており、節目、節目ではポルカドットの価格の変動要因ともなると思われます。

2. まとめ

2022年も進捗が楽しみな仮想通貨プロジェクトが多くありますが、今回ご紹介したプロジェクトに関連する仮想通貨の中でも日本の仮想通貨取引所で取り扱われているものも多くあります。

エンジンコイン(ENJ)、ポルカドット(DOT)、テゾス(XTZ)などは国内でもGMOコインでの取り扱いがある銘柄ですので、興味がある方は口座開設をしてみることもおすすめです。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12