国際送金ソリューションを提供するリップル社は5月14日、同社が開発した安価かつ迅速に送金を可能とするシステムであるリップルネットに、国内大手商社の三菱商事が参加したことを発表した。
リップル社の発表によると、三菱商事、英国の金融機関大手スタンダードチャータード銀行、およびMUFG銀行傘下にあるタイのアユタヤ銀行が、タイからシンガポールへの国際送金に、即時の国際送金決済と送金プロセスを可視化するxCurrentを試験的に導入するとしている。今回の試験導入の目的は、独立した各銀行間で迅速な国際送金が実現可能性を検証することだ。
三菱商事をはじめとする多国籍企業の多くは、世界各地の銀行口座に現地の通貨で資金を用意することによって、国際送金に必要となる資金の流動性を確保している。だが、これらの資金は、外国為替変動リスクや銀行のカウンターパーティーリスク、コンピューターウイルスによるセキュリティリスクなど、さまざまなリスクに晒されており、企業の管理コストが大きく、国際送金を複雑化させていた。
グローバル規模の取引が増加し続ける中、いまや国際送金の問題は大企業だけでなく中小企業にまで広がり始めており、さまざまな国際送金ニーズに対応するためにフィンテック系の送金プロバイダーを利用する企業が増えている。こうした動きを受け、競争力を維持するために金融機関はリップル社が提供する分散型台帳技術のような新しいテクノロジーを取り入れ始めている。
リップルネットへの参加企業は着実に増加しており、フォーチュン誌による国際企業番付「フォーチュン500」にランクインする三菱商事がxCurrentの試験導入を発表したことで、リップルネットはさらに注目度を高めていくだろう。今はまだタイからシンガポールへの送金に限られたものだが、今回の実証実験が成功すれば対象となる地域が拡大することは想像に難くない。
【参照記事】Mitsubishi Corporation, Krungsri and Standard Chartered Pilot Payments from Thailand to Singapore on RippleNet
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