今回は、ネムとジムの近況について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- GMOコインとは
1-1.GMOコインの概要 - ネムとジムとは
2-1.ネムの概要
2-2.ジムの概要 - ネムとジムの近況やアップデート状況
3-1.ネムチェーンとシンボルチェーンのハードフォーク
3-2.ハードフォークを経たネムの位置付け
3-3.シンボルの現在の状況 - まとめ
ネム(XEM)は、2015年に公開されたNEMブロックチェーンの暗号資産(仮想通貨)です。NEMはモザイク生成やマルチシグをはじめとするさまざまな機能をプログラム知識なしに使用できるプラットフォームとして知られています。
「ジム(XYM)」は、2021年3月にNEMをアップデート(Catapultアップデート)して誕生したブロックチェーン「Symbol(シンボル)」のネイティブトークンです。XYMは、DeFi分野をはじめとする、さまざまなプロジェクトへの導入が期待されています。
ここではGMOコインに上場している「ネム(XEM)」と「ジム(XYM)」について、その概要や特徴、近況や現在のアップデート状況を詳しく解説していきます。
①GMOコインとは
1-1.GMOコインの概要
GMOコインとは、16年10月に設立されたGMOコイン株式会社が手がける国内大手の仮想通貨取引所です。多岐にわたる金融サービスを提供している「GMOインターネットグループ」を親会社に持つ、信頼性の高い取引所として知られています。
GMOコインでは、ユーザーの利便性を重視し、即時入金の手数料や日本円の出金をはじめとする各種手数料が無料となっているため、手数料を気にせず取引を行うことが可能です。また、セキュリティ面にも定評があり、GMOインターネットグループで培われたノウハウを生かして、堅牢な管理体制のもと、ユーザーが安心して仮想通貨の取引ができる環境を提供しています。
このほかにも、「ビットコイン(BTC)」のほか、今回紹介する「ネム(XEM)」や「ジム(XYM)」などの人気のアルトコインを取り扱っており、その種類の豊富さは国内最多レベルを誇っています。
取引所(現物)の取扱銘柄 | 24種類:ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ベーシックアテンショントークン、ステラルーメン、モナコイン、ネム、クアンタム、チェーンリンク、ポルカドット、エンジンコイン、シンボル、テゾス、コスモス、エイダ/カルダノ、メイカー、DAI、FCRコイン、アスター、ソラナ、ドージ、NOT A HOTEL COIN |
販売所の取扱銘柄 | 21種類:ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ベーシックアテンショントークン、ステラルーメン、クアンタム、チェーンリンク、ポルカドット、テゾス、コスモス、エイダ/カルダノ、メイカー、DAI、ソラナ、ドージ、チリーズ、ザ・サンドボックス、ファイルコイン、アバランチ |
このように、GMOコインではユーザーを第一に考え、誰もが利用しやすい取引環境の整備に努めています。
②ネムとジムとは
2-1.ネムの概要
ネムは、15年3月にローンチされた、P2P評価システムを特徴とする、ブロックチェーンです。ネムというのはプラットフォームの名称を指し、そこで使用されているネイティブトークンを「XEM」と言います。ネムでは「分散化」「経済的自由」「機会の平等」を重んじ、使用量(オンチェーン活動)に報酬を与える「POI(プルーフオブインポータンス)」というコンセンサスメカニズムを採用しています。
日本ではテックビューロの下で導入が進み、地元のレストランやグローバルホテルでの代替決済オプションとなり、アート展示やコミュニティ運営のカフェ、さらには寄付活動にもインスピレーションを与えました。現在、ネムのエコシステム育成は17年3月にシンガポールを拠点として発足したNEM財団によって支援が行われており、ネムのブロックチェーンテクノロジーのユースケースをさらに拡大することを目的として活動しています。
2-2.ジムの概要
ジムとは、先ほど紹介したネムをベースとして開発されたブロックチェーン「Symbol(シンボル)」のネイティブトークンです。ネムとジムの関係性を簡単に解説すると、ネムはエコシステム全体の名称であり、その中にネムチェーンとシンボルチェーンという二つのブロックチェーンが存在する状態となっています。
シンボルはネムのハイブリッド型ブロックチェーンとしてリリースされ、21年3月17日に最初のブロックである「ジェネシスブロック」の生成が行われました。シンボルはネムのアップグレード版として、ネムの機能を引き継ぎながらもセキュリティ面・処理性能において大幅な改善が行われており、企業や公的機関といったエンタープライズの需要に対応可能になっています。
このような性質から、ネムチェーンが個人向けのブロックチェーンとされ、シンボルチェーンはより法人向けであるとも言われています。
2-3.仮想通貨としてのスペック
ネムの仮想通貨としてのスペックは下記の通りです。
ティッカーシンボル | XEM |
価格(22年11月24日現在) | 0.03397ドル(約4.71円) |
時価総額 | 約3億ドル(約423億円) |
時価総額ランキング | 90位 |
循環サプライ | 8,999,999,999XEM |
発行上限 | 8,999,999,999XEM |
ジムの仮想通貨としてのスペックは下記の通りです。
ティッカーシンボル | XYM |
価格(22年11月24日現在) | 0.036ドル(約4.48円) |
時価総額 | 約2億ドル(約249億円) |
時価総額ランキング | 128位 |
循環サプライ | 7,967,988,930XYM |
発行上限 | 8,999,999,999XYM |
③ネムとジムの近況やアップデート状況
3-1.ネムチェーンとシンボルチェーンのハードフォーク
21年には、ネムチェーンとシンボルチェーンがともにハードフォークを実施しました。
21年11月12日、シンボルのハードフォークである「Cyprus(キプロス)」の実装が成功し、シンボルは分散型でコミュニティ主導型の運営システムに回帰することとなりました。
21年12月1日には、ネムのハードフォーク「Harlock(ハーロック)」の実装が正式に完了。ネムブロックチェーンがシンボルのサブチェーンとして統合されることに関する支持について、ノードが表明する意味のあるハードフォークとなりました。
3-2.ハードフォークを経たネムの位置付け
現在、ネムは「NIS1(NEM Infrastructure Server 1)」と呼ばれており、シンボルのサブチェーンとして位置付けられています。では、なぜネム自体のアップグレードではなく、シンボルという新たなチェーンを開発し、二つのチェーンに分離させたのでしょうか。
その理由としては、ネムとシンボルの機能を一つのチェーンに統合することが技術的に極めて困難であったこと、また、ネムチェーン上において開発を進めているプロジェクトがあることなどが理由として説明されています。ネムは現在、コアチームによって凍結されている状態で、具体的な機能追加の予定は公開されていません。シンボルのサブチェーンとして活用されることは明確とされているため、今後の動きに注目していきたいと思います。
3-3.シンボルの現在の状況
ネムとシンボルに関して、21年4月にロードマップが公開され、モザイク(トークン)やマーケットプレイス、ソフトウェア開発キット(SDK)などについて言及されましたが、その後、詳しい状況については公表されていません。ただ、シンボルのウェブサイトによると、シンボルはグローバル且つスケーラビリティによって制約されない、ブロックチェーンの中心である「ハブ」となることを想定しているとしており、ネムのようなサブチェーンはこれを実現するための最初の一歩だと説明しています。
シンボルは22年にカタールで開催されるFIFAワールドカップのホテル建設にも採用されたほか、著名なブロックチェーン開発団体として知られる「Fantom Foundation」との提携により、DeFi分野への参入も期待されており、その動きからますます目が離せなくなっています。
④まとめ
今回は、新たな決済・送金プラットフォームとしてローンチされた「ネム(XEM)」と、そのアップグレード版として知られる「ジム(XYM)」について解説しました。
両者ともに直近の詳しいアップデート状況は公開されていませんが、ネムのサブチェーンとしての役割や、シンボルのハブとしての発展などに大きな期待が集まっています。また、シンボルはその機能性の高さから、DeFi分野をはじめとするさまざまなプロジェクトへとユースケースを拡大していくと見られているため、興味のある方はGMOコインで口座を開設し、ネムとジムの取引を行ってみてはいかがでしょうか。

中島 翔

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