独スタートアップのVay、ラスベガスで遠隔運転による初の商用モビリティサービスを提供開始

ドイツのスタートアップで遠隔運転技術のVayは1月17日、米ネバダ州・ラスベガスにて、遠隔運転で顧客にドアツードアの輸送サービスを提供する「teledrive(テレドライブ)」を開始したと発表した(*1)。

Vayは2018年に設立され、欧州で初めて公道で無人運転を実現した新興企業だ。ベルリンを拠点とする同社は、車両安全、機能安全(ISO 26262)、サイバーセキュリティ(ISO 21434)など、主要な安全規格に準拠する。高い安全性を担保すべく、ドイツの第三者認証機関テュフズード(TÜV Süd)の認証も取得している。2023年11月に米国でセーフティ・ドライバーが廃止されたことにより、Vayは両大陸で遠隔運転車のパイオニアとなった。

ボタンをクリックするだけで、費用対効果の高い1分単位にて、駐車の手間をかけずに、運転手なしの車両引き渡しから走行後の返却までシームレスな遠隔運転による無人走行サービスを提供する。同社のテレドライビング技術は、自律走行に代わるアプローチであり、公道での安全運行のための業界基準に従って開発され、検証済みの技術となる。

数週間の早期アクセスに続き、現在はネバダ大学ラスベガス校(UNLV)とアーツ・ディストリクト周辺でテレドライブサービスを利用できる。Vayのアプリで電気自動車(EC)を注文すると、専門的な訓練を行った運転手「テレドライバー」が、テレドライバーステーションから遠隔操作で車をユーザーのもとに運んでくる。

テレドライバーステーションには、自動車業界の基準を満たすように開発されたハンドル、ペダル、その他の車両制御装置を備え付けられている。車両にはカメラセンサーが搭載され、車の周囲の映像がテレドライバーステーションのスクリーンに送信される。また、緊急車両などの道路交通音やその他の警告音は、マイクを介してテレドライバーのヘッドフォンに送信される。

ユーザーはその車に飛び乗り、目的地まで自分で運転する。目的地に着くと、テレドライバーは次のユーザーの所まで車を運転するか、駐車する。ユーザーが寄り道したい場合、例えばスーパーマーケットで買い物をしたい場合も、アプリを介して行うことができる。

分単位のレンタルでは、ユーザーは車を利用した時間分だけ料金を支払う。アプリの最初のオファーとして、ユーザーは運転時に1分当たり0.30ドル、途中降車時に1分当たり0.03ドル課金される。費用対効果の高いサービスであるほか、ユーザーは車に一人で乗っているため、自分のペースで自由に移動することも可能だ。

Vayの創設者兼最高経営責任者(CEO)を務めるトーマス・フォン・デア・オーエ氏は「5年間の技術開発期間を経て、ラスベガスでビジョンを実現する。便利、手頃な価格、且つ持続可能なドアツードアのモビリティサービスの提供を通じ、都市を車両の駐車から解放し、より住みやすく、環境に優しいものにすることを目指す」と述べた(*1)。

【参照記事】*1 バイ「https://vay.io/press-release/vay-launches-commercial-driverless-mobility-service-with-remotely-driven-cars-in-las-vegas-nevada/

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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