ブロックチェーンのレンディングプロトコルであるMakerDAO(メイカーダオ)は、米ドルの価値に紐づけされたステーブルコイン「DAI」の裏付け資産として、トークン化された現実世界の資産を含める取組みを進めている。ニューヨークのデジタル資産とブロックチェーンニュースメディアThe Blockが6月9日、伝えている。
MakerDaoとは、仮想通貨を担保にステーブルコインDAIを発行するレンディングプロトコルだ。自立分散型組織(DAO)として運営され、ガバナンストークン「MKR」の保有者が投票を介してネットワークを管理している。これまでDAIは、イーサリアム(ETH)やベーシック・アテンション・トークン(BAT)などの仮想通貨を担保資産としてきた。
スタートアップCentrifugeが提出した「トークン化された現実世界の資産」を担保資産に加えるプロポーサルは、6月初旬のコミュニティ投票で賛成多数で可決した。2つの新しい担保資産となるのは、ConsoleFreightという物流システムで取り扱う貿易書類等のインボイスと、Paperchainという音楽配信サービスのロイヤリティをそれぞれトークン化したものだ。
NFT(非代替性トークン)担保型ローンシステムTinlakeを構築しているCentrifugeは、今後数か月かけてオラクルの選択やリスクモデル開発、スマートコントラクトのセキュリティ監査に着手する。その後、イーサリアム・スマートコントラクトへの統合についてMakerDAOで最終的な投票が実施される見通しだ。
MakerDAOの投票結果は、分散型金融(DeFi)領域に初めてトレードファイナンスを取り入れる可能性を切り開いている。ステーブルコインDAIは主要な仮想通貨取引所に上場しているため、Centrifugeのユーザーは仮想通貨ローンを換金することで、事業資金を調達できる。MakerDAOの創設者であるルーン・クリステンセン氏はCoinDeskに対して、より多くの現実世界の資産を取り入れる意向を示している。
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