ステーブルコインTether(USDT)の発行および管理を行うテザー社がニューヨーク司法当局(NYAG)に起訴されていた問題について、1,850万ドルを支払うことで和解する結果になったことが2月23日に明らかとなった。
NYAGは2019年4月に、テザー社および関連会社の暗号資産取引所Bitfinexが巨額の不正会計を隠蔽していた疑いで両社を起訴していた。結果的に不正を行なった事実は認められなかったものの、NYAGに対して和解金を支払うことになっている。またこれに伴い、テザー社はニューヨーク州での営業を停止しなければならない状況に陥っていると報じられた。
Tetherは、米ドルに価格が連動するよう設計されたステーブルコインだ。発行および管理を行うテザー社には、Tetherの価格を裏付ける資産が保管されているはずである一方、Tetherの総発行額の規模から本当に担保資産が存在するのかという疑惑がかけられていた。
NYAGの主張としては、Tetherの価値が米ドルによって裏付けられているというテザー社の主張は正しくないといったものだ。そのため、ニューヨーク州での営業停止を求める訴訟を起こしていた。
この問題に関しては長らく停滞状態が続いていたものの、2021年に入りテザー社がNYAGからの財務記録の提出に応じたことで急展開を見せていた。また、Tetherの裏付け資産を管理するバハマのDeltec銀行も、資産が全て存在していることを明らかにしている。
テザー社の弁護士によると、裏付け資産が存在しないことの根拠はなく、NYAGの主張は特定の期間を指定してのものであるためそれを証明することはできないという。合わせて次のようにコメントしている。
「我々は不正行為を行なったという事実は認めていない。しかしながら、この問題に終止符を打ち本来のビジネスに集中しなければならない。今回の支払いは必要な費用と見るべきだ。」
今回の訴訟ではテザー社が不正の事実を認めなかったものの、過去の調査では2017年以降の一部期間において、テザー社は担保資産となる米ドルを完全には保有していなかったことが明らかとなっている。
【参照記事】Tether and Bitfinex reach settlement with New York Attorney General’s Office
株式会社techtec リサーチチーム
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