モルガン・スタンレー・サステナブル投資研究所とモルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントは1月29日、サステナブル投資に関連した新しいレポート「サステナブル・シグナル(Sustainable Signal)」を公表した(*1)。世界の個人投資家の大半が、2024年にサステナブル投資を拡大する意向を持っていることが明らかになった。
同レポートは、米国、欧州、日本の個人投資家のうちアクティブ投資家2,820人を対象として、サステナビリティへの関心と、投資家がどこに最も大きな投資機会と潜在的リスクを感じているかを調査した。
同調査によると、世界の個人投資家の4分の3以上(77%)が、社会的・環境的インパクトを考慮しながら市場並みの財務リターンを目指す企業やファンドへの投資に関心を持っている。また、過去2年間で半数以上(57%)がそのような関心を高めており、54%が2024年にサステナブル投資への配分を増やすと回答した。
サステナブル投資のテーマとしては、気候変動対策(15%)が最も多く、ヘルスケア(13%)、水ソリューション(11%)、サーキュラーエコノミー(循環経済、11%)がそれに続いた。
新規投資を行う際、個人投資家の約80%は、企業のカーボンフットプリントの報告や温室効果ガス(GHG)排出量削減へのコミットメントを考慮している。一方、依然として伝統的なエネルギー企業も投資対象としており、51%の個人投資家は、排出量削減と気候変動への対応に関する確固たる計画があれば、これらの企業への投資を検討している。
調査回答者は、サステナブル投資を妨げる要因として、サステナビリティ報告書の透明性と信頼性の欠如(63%)とグリーンウォッシングの可能性(61%)を挙げている。また、社会課題テーマへの投資に関心があるが、どこから手をつければよいのか分からないという回答もあった。
その他、投資家の半数以上(52%)は、サステナブル投資を開始する方法について知識が乏しく、47%は利用可能な金融商品が不足していると回答している。これらの調査結果は、資産運用会社や投資プラットフォームが、投資家のサステナブル目標達成を支援する機会が増えていることを示している。
世界の投資家の58%は、サステナブル投資に関連したサービスに基づき、金融アドバイザーや投資プラットフォームを選択する可能性があると回答した。
【参照記事】*1 モルガン・スタンレー「Sustainable Signals Understanding Individual Investors’ Interests and Priorities」
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