サステナビリティ分野のスタートアップによる同業のM&A(企業の合併・買収)が散見されている。ブラックストーン傘下にてESG(環境・社会・ガバナンス)パフォーマンス・リスク管理ソフトウェアを提供するSpheraは1月9日、サステナブルサプライチェーンソフトを開発するSupplyShiftを買収した(*1)。サステナビリティ・コンサルティンググループのAnthesisは、パーパス策定やサステナビリティ分野のスペシャリストRevoltと合併する(*2)。
Spheraは今回の買収を通じ、サプライヤーのマッピング、スコアリング、トレーサビリティの機能を向上し、持続可能なサプライチェーン構築を図る顧客のサポートを強化する方針だ。一方SupplyShiftは、SpheraのSaaSプラットフォームである「SpheraCloud」とライフサイクルアセスメント(LCA)ソリューションを活用し、より多くの顧客がスコープ 3排出量を追跡し、サプライチェーンの持続可能性を管理するのを支援する。
SupplyShiftは2012年に設立され、カリフォルニア州サンタクルーズに本社を置く。同社のソフトウェアは、サプライヤーや顧客と直接コミュニケーションでき、サプライヤーがサプライチェーンのESGパフォーマンスを向上させるのに役立つスコープ3排出量データのシームレスな収集を可能にする。
既に10万社を超えるサプライヤーのサプライチェーンネットワークを形成し、リスクの管理およびサプライヤーの規制遵守を促進するために、バイヤーとサプライヤーが迅速に情報を共有する仕組みを構築している。SupplyShiftのポータルはグローバル小売企業やフォーチュン500を構成する大企業など、業界を問わず様々な顧客に利用されている。サプライチェーンの透明性を求める規制が増えるに伴い、同社は著しい成長を遂げている状況だ。
直近では、サステナビリティ分野のスタートアップによる同業の買収が散見されている。例えば、サステナビリティ・コンサルティンググループのAnthesisは1月10日、パーパス策定やサステナビリティ分野のスペシャリストRevoltと合併すると発表した。
両社の合併は、サステナビリティ分野への投資に舵を切り、経済社会を変革するインパクトをもたらすような、パーパスドリブンな戦略的ポジションの確立を目指す企業のニーズの高まりに応えるものだ。
AnthesisはRevoltと手を組むことで、150名以上のストラテジスト、イノベーター、クリエーターを有し、パーパス・コンサルティング、戦略、コミュニケーション分野において世界トップクラスの専門性を提供するチームを形成する。これにより、4,000社以上のクライアントに対し、科学的根拠に基づくサステナビリティ分野のアドバイザリーサービスやパーパスドリブンな戦略の策定など包括的なソリューションをできるようになった。
Revoltは2017年に設立され、ロンドンに本社、ニューヨークに事業所を構える。サステナビリティとDEI(多様性、公平性、包含性)戦略、コミュニケーションなどの分野において、市場をリードする70名以上の専門家からなるチームに成長している。
米飲料・食品大手ペプシコや仏化粧品大手ロレアル、英蒸留酒大手ディアジオなど、様々な業界のリーダーと提携する。国際的な広告賞「カンヌ国際クリティバル(カンヌライオンズ)」のクリエイティブ・ビジネス・トランスフォーメーション部門賞を受賞した初の英国企業になるなど、市場から高い評価を得ている。
【参照記事】*1 Sphera「Sphera Acquires SupplyShift,a Pioneer in Supply Chain Sustainability Software」
【参照記事】*2 Anthesis「Global Purpose Specialists Revolt Merges with Anthesis」
フォルトゥナ
【業務窓口】
fortuna.rep2@gmail.com
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