電子決済分野のスタートアップSumUpが、2億8,500万ユーロ(約450億円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、グローバルに事業展開を進め、ターゲット顧客である小規模加盟店向け製品サービスの拡充を図る。
今回の投資ラウンドは、グローバル投資会社シックス・ストリートのグローバル投資事業シックス・ストリート・グロースが主導した。米投資会社べイン・キャピタル傘下のベイン・キャピタル・テック・オポチュニティーズ、米投資会社フィン・キャピタル、イスラエルのフィンテックスタートアップのリクイディティ・キャピタルも参加した。
世界的にキャッシュレス決済が普及する一方、一部の小規模事業者はキャッシュレスに対応できていない。これは、クレジットカードなどを決済できる端末が高額であり、財務基盤の脆弱な小規模事業者にとっては大きなコスト負担になるからだ。
事業者がキャッシュレス決済に対応するには、ブランドフィー、トランザクションフィー、決済端末費用など、様々なコストを合計した加盟店手数料を支払わなければならない。その中でも、端末費用は大きな比重を占めており、10万円前後が相場と考えられている。
その電子決済分野の課題を解決するのがSumUpだ。同社は英国で2012年に設立されたフィンテックスタートアップである。同社は、殆どの決済プロバイダーにとって小さすぎると考えられる何百万もの小規模事業者に、金融サービスへのアクセスを提供している。その規模は、銀行や従来のプロバイダーが対象とする最も小規模な企業の10倍も小さい。
主な製品サービスとしては、NFCやICチップに対応した決済端末の貸し出しを行っている。SumUpの決済端末を利用するには、1回限り端末費用を支払えばよく、管理費や更新料は一切かからず、毎月の最低支払金額もない。さらに、売上から1日で現金を受け取れることから、キャッシュフローにも余裕ができる。
SumUpは複数の決済端末を提供しており、そのうちのローコストモデル「Sum Up Air」は39ポンド(約7,100円)だ。事業者にとっては、相場より大幅に割安なコストでキャッシュレスサービスに対応できるだろう。手頃で使いやすい決済端末や金融サービスを提供していることが支持されており、既に世界で400万社以上の企業が同社製品サービスを利用している。
SumUpの決済端末は、ビザ、マスターカード、アメリカン・エキスプレスなどの国際ブランドが付与されたクレジットカードや、アップルペイ、グーグルペイといったスマホを利用した非接触型決済サービスにも対応している。
その他にも、決済端末と連動するPOSレジを提供している。これは、クレジットカード機能を付帯したPOSであり、決済から売上・在庫管理までできるオールインワンのPOSシステムだ。
最近は、オーストラリアでサービスを開始するなど、36か国で事業を展開する。JCBやアップルといった有名ブランドと強力なパートナーシップも築いている。
規模の経済を実現し、過去11年間に構築したプラットフォームと加盟店との関係を活用することで、2022年第4四半期以降、EBITDA(#1)ベースで黒字を維持しながら、前年同期比で30%以上の売上高成長率を維持している。電子決済分野の課題解決に繋がるソリューションを提供するSumUpの更なる飛躍に期待したい。
(#1)EBITDA…「Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization」の略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指す。
【参照記事】*1 「Global Fintech SumUp Raises €285 Million」
フォルトゥナ
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