一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は12月17日、米国最大級のフィランソロピー・アドバイザー組織「ロックフェラー・フィランソロピー・アドバイザー(RPA)」と業務提携し、日本国内の富裕層を対象にしたフィランソロピー活動を支援する「フィランソロピー・アドバイザリー」業務を開始すると発表した。PRAは18年にわたり米国の富裕層へフィランソロピー活動の助言やサポートを展開しており、この知見を活用することで、日本でも富裕層による戦略的フィランソロピー活動の実践を増やしていくことを目指す。
フィロンソロピ―は、民間の立場から公益のために行うボランティア活動で、寄付などを含む企業体の社会貢献として認識されつつある。SIIFは「日本ではフィランソロピーに興味・関心を示す富裕層の数と戦略的な活動実績が諸外国と比べ少ない。理由には、富裕層がフィランソロピー活動を実践しようとする際の支援する仕組みの不足にある」と指摘する。今回の提携で、国内のフィランソロピー活動をより戦略的かつ社会的インパクトを重視したものにしていく意向だ。
フィランソロピー活動における戦略立案から実践、効果検証までの一連の活動に対し、総合的に助言・サポートを行う。SIIFのフィランソロピー・アドバイザリー業務としては、フィランソロピーにおける動機の明確化と目的の設定、取り組む社会課題の特定と、それに係る調査・分析、現場視察、活動の目的に応じた支援形態(基金、財団、ファンド、事業活動等)の選択、・寄附・インパクト投資事業の企画・運営、資金提供先の紹介と選定、社会的インパクト評価などがある。
今年9月には日本と海外の富裕層におけるフィランソロピーの意識と実態を調査した報告書「新しいフィランソロピーを発展させるエコシステムに関する調査~富裕層の意志ある資産を社会に生かす~」を発行。富裕層をはじめ、富裕層を顧客に持つ金融機関や士業に情報を発信している。「日本の社会に戦略的なフィランソロピー活動が根付き、『気軽に』『楽しく』『本気で』取り組める環境の整備に努めていく」(SIIF)と将来イメージを描く。
なお、本業務開始に伴い、2021年の春にはフィランソロピー活動を始める際の手順を示したガイドブック「フィランソロピー・ロードマップ(出版元:RPA)」の日本語版も発行する予定。
RPAは毎年2億ドル以上のフィランソロピーとインパクト投資についてアドバイスを提供する非営利組織。米国の名門として知られるロックフェラー家の遺志を継ぎ、世界のフィランソロピー活動を支援している。2002年の設立以降、約70カ国で30億ドル以上の助成を実現した。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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