一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は1月13日、「インパクト志向金融宣言プログレスレポート 2022」を発行した。同宣言は、投融資先がもたらす環境・社会への変化を捉えて環境・社会課題を解決するという考え方(インパクト志向)を前提に、創出されるインパクトを測定・マネジメントを実施したうえで投融資判断を推進するため、署名機関が互いに連携して活動していくためのイニシアティブ。事務局を務めるSIIFが、同宣言の発足から1年間の活動と進捗をプログレスレポートに取りまとめている。
レポートでは、署名機関が行うインパクト投融資を①「意図」「戦略」はあるが「測定」を実施していない場合②「意図」と「戦略」を持ち、アウトカムを測定している場合③測定に加えてインパクト創出にかかる「マネジメント」を実施している場合の3つに分類し、後者2つをインパクト投融資と位置づけ算出した。

結果、署名機関38社(6社非公開、1社非掲載機関あり)による22年9月末時点のインパクト投資残高総額合計は3兆8500億円に上った。内訳は、「環境」が1兆9481億円、「社会」が4096億円、「環境&社会」で1兆4922億円となった。

また、本インパクト志向金融宣言の原則であるインパクト志向金融経営(インパクト志向の金融を金融機関の業務全体に浸透させる経営の取り組み)では、運営委員を務める三井住友トラスト・ホールディングス株式会社フェロー役員金井司氏、りそなアセットマネジメント株式会社執行役員松原稔氏、アドバイザーの高崎経済大学学長水口剛氏、SIIF エグゼクティブ・オフィサー安間匡明、同インパクト・オフィサー小笠原由佳による座談記事「インパクト志向の金融が社会を変える」を掲載するほか、16 の金融機関が個社のインパクト志向金融経営の取り組みを紹介している。
さらに、発足から半年の2022年6月に立ち上げた7つの分科会「定義・算入基準」「インパクト測定・マネジメント(IMM)」「ソーシャル指標」「アセットオーナー・アセットマネジメント」「地域金融」「ベンチャーキャピタル」「海外連携」の進捗を掲載している。
全45ページ。構成は、インパクト志向金融宣言について/特集「インパクト志向の金融が社会を変える」/インパクト志向金融経営とは/インパクト志向金融宣言の 2つの原則/インパクトファイナンスの定義 /残高/分科会活動報告/署名機関紹介
【参照リリース】「インパクト志向金融宣言プログレスレポート 2022」(PDF)

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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