滋賀県は1月18日、サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)を発行すると発表した。発行額は50億円。10年債(満期一括償還)で今年4月~5月に発行予定。取扱証券会社(主幹事)はみずほ証券株式会社、野村證券株式会社。
同県では県域のCO2を実質ゼロにする「CO2ネットゼロ」方針を掲げ、「CO2ネットゼロ社会づくり推進計画」の策定を進め、併せて事業者としての行動計画「環境にやさしい県庁率先行動計画」(GOS)の改定作業を行っている。これは、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、県の事務事業(いわゆるオフィス活動にとどまらず、上下水道事業、学校、病院の運営など)における温室効果ガス排出量の削減等を進めるための計画。1998年に策定され、施設・設備の省エネ化や自動車の排出削減対策などを進捗させてきた。
SLBの発行によってこれらの取り組みの認知を広げ、機運醸成につなげる狙い。SLBはESG債の一つで、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関連する目標を設定し、その達成状況に応じた対応をあらかじめ設定して発行する債券。借り入れた資金の使い道をあらかじめ設定したプロジェクトなどに限定するグリーンボンドなどとは定義が異なる。
18日の定例記者会見で、三日月大造知事は「CO2ネットゼロに向けた県の覚悟を示すとともに、ESGを重視する機関投資家にしっかりアピールしたい」と説明。同県によると、日本では2020年から企業11社がSLBを発行しているが、地方自治体が発行するのは世界で初めて。
プロジェクトを限定しない資金調達の条件として、同県は県庁の30年度のCO2排出量を14年度比50%削減することを目標にする構想。今後は、国際資本市場協会(ICMA)が定めるSLB原則に基づき、第三者機関の認証を得る。
【参照リリース】滋賀県「地方公共団体で世界初!サステナビリティ・リンク・ボンドを発行します!」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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