米国で注目を集めるインフラ法案が、修正なしで下院を通過する見込みであることが8月24日に明らかとなった。暗号資産税制の強化が盛り込まれた内容となっていることもあり、市場への影響が懸念される。
上院での審査で多方面からの指摘を受け話題となっていたインフラ法案だが、下院では大きな議論もなく議会を通過する見込みとなった。220対212と票数は均衡したものの、わずかに賛成票が上回る結果となっている。9月27日までに採決が行われる予定だ。
インフラ法案の下院通過については、上院でのプロセスと同様多くの反対意見が寄せられていた。カリフォルニア州からAnna Eshoo議員、Ro Khanna議員、Eric Swalwell議員、ミネソタ州からTom Emmer議員などが主導して動きを見せており、シリコンバレーの民主党議員グループからも連名で反対声明が提出されている。
具体的には、上院と同様に「ブローカー」の定義が広範にわたり、明確でないことや不本意であることが論点だ。上院では、ブローカーの定義から、PoWにおけるマイナーのみが対象外とされており、ウォレットプロバイダや開発者もこの定義に含まれるとされていた。
そういた反対意見が相次ぐ中で、下院議長のNancy Pelosi氏はインフラ法案を修正なしで下院通過させることを公表している。
暗号資産取引所Coinbaseの税務責任者を務めるLawrence Zlatkin氏はインフラ法案について、「6,000万人以上の米国居住者に影響を与える重大な条項だ」と言及した。その上で、そのような重大な法案が公開討論の場で議論されていないことを強く批判している。
同氏は、これまでに度々指摘されてきたブローカーの定義を見直すことを再度強調し、現在の法案内容では事業者が義務を果たすことができないと説明した。
「開発者やウォレットプロバイダ、PoSにおけるバリデータに実現不可能な義務を課すことで、コンプライアンス違反による事業破綻が起こることは目に見えている。リスクを冒してまで彼らをサポートする弁護士もいないだろう。税制は塾考されたものでなければならない。」とコメントしている。
【参照記事】Treasury will not target non-brokers like miners even if the crypto tax provision isn’t amended
株式会社techtec リサーチチーム
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