ロシア政府が、60万ルーブル(約100万円)相当を上回る法定通貨と仮想通貨の交換に、外国為替規制が適用される「デジタル金融資産に関する法案」を用意していることが分かった。4月13日、ForkLogが報じた。
ロシア国家院(下院)・金融市場委員会のアナトリー・アクサコフ(Anatoly Aksakov)委員長は、その法案は下院にまだ提出されていないとしている。しかし、ロシアの銀行はすでにマネーローンダリングやテロ資金の対策として60万ルーブルを超える取引を追跡しているという。
3月20日に下院に提出された「デジタル金融資産に関する法案」草案の最新版は、仮想通貨及びデジタルトークンを「デジタル金融資産」と定義し、取引が許されるのは認可済みの仮想通貨取引所のみとなる。イニシャル・コイン・オファリング(ICO)の顧客確認(KYC)の規定も詳細が記されている。
ロシア連邦の金融監視機関によると、仮想通貨取引所の事業者はマネーロンダリング・テロ資金に対するロシア連邦法第5条(115-FZ)に従わない場合、認可を取り消される。
仮想通貨取引を銀行と金融監視機関の管理下に置く法案は仮想通貨マイニングに対する課税には触れていないが、ロシア仮想通貨ブロックチェーン協会(RACIB)のユーリ・プリパチキン(Yuri Pripachkin)会長は仮想通貨マイナーは規制の緩やかな他国に流出すると予見する。
また、同法案は仮想通貨を決済システムではなく資産と位置づけており、ロシア政府はデジタル資産の取引を課税対象にすることを目指している。ロシア国立経済行政大統領学院(RANEPA)のテイムラズ・ヴァシクマゼ(Teimuraz Vashakmadze)准教授によると、仮想通貨取引は13%の所得税の対象になるというが、同氏は「ビットコインを売り買いしたことを自ら明かさなければ誰にも分からないため、自発的に申告する者は多くないだろう。」とも語っており、課税が困難な可能性も指摘している。
RACIBによると、ロシア政府発行の仮想通貨「クリプトルーブル」は2019年にローンチされる見込みだ。今回の仮想通貨規制法案は、その準備ともとらえることが出来る。引き続き注目していきたい。
【参照記事】Russia: Crypto Bill Review Regulates Crypto-Fiat Transactions Over $9.6K, Report Says
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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