リップル社、シリーズC資金調達ラウンド株150億ドルの買戻しへ、株式上場への兆しか

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ブロックチェーンクロスボーダー決済のリップル社CEOブラッド・ガーリングハウス氏は1月26日、2019年12月に実施したシリーズC資金調達ラウンドの株式、150億ドル(約1兆7,100億円)を買い戻したと自身のツイートで報告した。

ブラッド氏は、この報告で「2021年逆風のなかで記録的に良い年になり、ネットワークは10億ドルのボリュームに達している。XRP台帳に、NFT(非代替性トークン)やCBDC(中央銀行デジタル通貨)、相互運用性ブリッジやサイドチェーンなど、多くの機能を搭載するためにパートナーらと開発に取り組んでいる」と抱負を述べた。2019年12月のシリーズC資金調達は、クローズエンド株式信託のTetragonにより主導されており、SECがリップルを提訴直後の2021年1月に、資金投資の償還を要求する訴えを起こしていた。

SECとリップル社の訴訟については、時系列で事案をおおまかに振り返ってみる。

  • 2020年12月22日
    SEC(米証券取引委員会)は、リップル社のCEOブラッド・ガーリングハウス氏と、共同創設者クリス・ラーセン氏を相手取り、 2013年からの7年間、未登録有価証券XRPを販売し、1,300億円以上の資金調達を不正に行ったことによる取引停止要求の提訴を起こす。
  • 2021年1月29日
    リップル社より最初の反論文章が裁判所に提出される。文章は93ページに渡り「XRPはセキュリティ(証券)ではなく、国内外で流通する仮想通貨(暗号資産)の交換媒体として取引を促進するものであり、SECが個別に規制する権限はない」と主張。SECがイーサリアム(ETH)を証券でないとする判断資料や中国によるビットコイン(BTC)とイーサリアムの支配に関する情報の開示を求める要求も申請した。
  • 2021年2月22日
    リップル社とODL(XRPを活用した国際送金サービス「On-Demand Liquidity」)契約のあったMoneyGramが、2021年第1四半期のレポートで、SEC訴訟による不確実性を理由にサービス停止を発表。リップル社もパートナーシップにおける契約終了の声明を3月8日の公式サイトで表明した。
  • 2021年5月7日
    SECがリップル社に新たに「XRPが有価証券に相当する可能性の法廷助言記録の提出」を求めたが、31日裁判所は秘匿情報が含まれるとしてSECの要求を却下。

この後、SECは「XRPは国外取引のため、国内の規則違反ではない」とするリップル側主張を裏付ける海外暗号資産取引所への証明協力依頼やXRPの規則上の位置づけを示す証拠として従業員のSlack履歴の要求を行っている。対して、リップル側はSECに「内部トレーディングポリシー」の開示を求めるなど、SECとリップル社は、双方が主張する「有価証券」に関する証明書類の提出要求を交互に繰り返してきた。

明確な判決には至っていないものの、これまでにリップル社に有利となる評決が2件判明している。元SEC長官を務めたウィリアム・ヒンマン氏は、2018年にイーサリアム(ETH)を証券とはみなしていないという発言があり、スピーチ原稿を含む電子メールをリップル側に提示するよう要求されていた。SEC側はこれに対し、特権に当たるため開示拒否を主張したが、今年1月13日裁判所は、「特権」には当たらないという評決に達している。原稿や資料提出の義務については明確にされていない。また、ブロックチェーン企業コンセンサスとイーサリアムの共同創業者のジョセフ・ルービン氏とのやり取りや関連資料や会議メモを提出するよう評決が下った。

直近の状況では、2021年10月21日にネットバーン判事により支持のあった5つの動機回答に関して、DPP(Deliberative Process Privilege:審議プロセス特権)を理由に、2月28日まで延期の申請が受け入れられた。リップルとSEC訴訟状況をフォローしてきたティモシー・ホーガン弁護士は、このような訴訟が長期化する理由にDDPを指摘、SECの目論見はリップルへの圧力あるいは、ヒンマン氏のスピーチ内容の照査を必要としているのではと推測する。1933年にルーズベルト大統領が金を有価証券としてスタートさせた例では、政府が資産コントロールするために、精製所、トレーダー、取引所を経由させて規制枠を作る方法だったと語る。グローバルに展開する暗号資産の取り締まりを訴訟で推進するのは理にかなっていないと指摘している。

今回のリップル自社株買戻しについては、リップルコミュニティ内ではIPOの準備や訴訟終結への兆しを期待する声も多くツイートされている。今後に期待したい。

【参照記事】リップル buys back Series C funding shares worth $15B a year after being sued over it – AMBCrypto

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