金融データ・プロバイダーのリフィニティブは7月16日、持続可能な投資への移行において重要なデータ指標となる「リフィニティブ・リッパー・ファンドESGスコア」の提供を開始した。ファンドマネージャーやアドバイザー、投資家をはじめとする多くの皆様にファンドレベルでのESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを評価・比較するための指標で、同社のツール「Refinitiv Workspace」「Eikon」またはAPIフィードを通じて利用できる。
同スコアは、33万以上のファンドをカバーするリフィニティブ・リッパーのグローバルファンドデータベースと、グローバル時価総額の80%に相当するESGスコア対象企業から成る適格ファンドユニバース、株式型、債券型およびミックス型ファンドの純資産総額15.7兆米ドルに相当する1万9000以上の各ポートフォリオのファンドスコアを算出した。環境、社会、ガバナンスの三つの柱にまたがる10の主要テーマ(排出量、環境製品の革新性、多様性と受容性、人権、株主など)について、企業の相対的なESGパフォーマンス、コミットメント、効果を透過的かつ客観的に算出する仕組みだ。
同スコアには、公表済みの検証可能なレポートのデータに基づき企業やファンドのESGパフォーマンスを測定した「ESGスコア」と、スコアと「論争(ネガティブイベントの影響)」を重ね合わせることで、企業の持続可能性への影響や行動をほぼリアルタイムで総合的に評価する「ESG複合スコア」が組み込まれている。さらに、10の主要テーマで構成されるE、S、Gの個別の柱に従い、ファンドや企業がどのように企業活動を行ったかを検証する三つの柱の合計スコアがある。同社の企業データとスコアを活用し、リッパーのグローバル・ファンド・ユニバースの保有銘柄に関するデータと組み合わせることで、構成要素の属性に基づいたボトムアップ方式によるファンドのスコア付けを行う。

同社は「世界が新型コロナウイルスの課題に取り組んでいる局面でも、気候変動がコミュニティ、食糧供給、生物多様性、経済に影響を与える最も重大な問題の一つであることに変わりはない。社会的課題の解決に向けて高炭素産業やそれに相当する業界から距離を置くことができるようにするため、さらなる規制上の義務を順守する上で、金融市場がこの問題に取り組むのは不可欠」として、サステナブル投資の意義を強調。そのうえで「ESGに焦点を絞った運用資産は増え続けているが、ESGを組み込むその多様性とスタイルに一貫性があるとはいえない」とし、新たに提供するスコアの機能を「持続可能な成果をもたらす資本を最適化するための優れた道筋を示し、差別化された資産を投資家に提供できる」と自負している。

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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