株式会社三菱UFJ銀行は7月13日、世界最大の運用会社ブラックロックが運営する官民共同の新興国気候変動対策インフラファンド「Climate Finance Partnership」への出資を決定したと発表した。同ファンド総額(目標)は5億ドルで、三菱UFJ銀の出資額は2000万ドル。主に新興国の再生可能エネルギーセクターを対象に、政府系金融機関や民間資金を活用した投資を行い、再生可能エネルギーなどの気候変動対策インフラ整備を支援する。また、民間投資家の代表として、フランス開発庁(AFD)、ドイツ復興金融公庫(KfW)などと環境・社会インパクトのモニタリング評価に関与し、新興国の低炭素社会への移行に貢献していく。出資分想定インパクトとして、年間のCO2削減量約1.7万トンと試算する。
金融業界では、サステナブルビジネスに関連するグローバルな潮流変化の中、適正な財務リターンを確保しながら、環境や社会へのポジティブなインパクトを生み出す「インパクト投資」の流れが加速している。三菱UFJ銀は2019年に「サステナブルビジネス投資戦略」を策定、21年3月に日本の民間金融機関として初めて、国際金融公社が策定したインパクト投資におけるグローバルな市場基準である「インパクト投資の運用原則」に署名した。同戦略では、経済性と環境・社会へのインパクトを両立させた投資を将来的に拡大することを目標に、投資判断の際は、経済性だけでなく環境や社会に与える影響も重視していく考え。
同ファンドは、アジア・中南米・アフリカの再生可能エネルギーセクターを対象とし、政府系金融機関や民間資金を活用した投資を行う。投資の際は「インターナルカーボンプライシング」を採用する。これは、組織が独自に自社の炭素排出量に価格をつけ、何らかの金銭価値を付与することで、企業活動を意図的に低炭素に変化させることができる仕組み(引用元:環境省 インターナルカーボンプライシング概要資料)で、二酸化炭素排出削減量を可視化する手法。
新興国では、人口増加や経済成長でエネルギー需要の拡大が見込まれ、炭素排出量の削減に寄与する気候変動対策インフラの構築が必要とされている。同ファンドでは官民が協働して気候変動対策のインフラ構築資金を呼び込み、環境や社会に対するポジティブなインパクトを創出しながら、魅力的なリスク・リターンの提供を目指す。
出資機関は、三菱UFJ銀、AFD、KfWのほか、国際協力銀行、Grantham Environmental Trust、Quadrivium Foundation、第一生命、スタンダードチャータード銀行。
【参照リリース】株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 株式会社三菱UFJ銀行新興国気候変動対策インフラファンドへの出資について
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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