アジアの電気街に、仮想通貨マイニング用の機材であるリグを求める客が世界から集まってきている。ヨーロッパで購入する場合と比較して、リグの部品であるGPUやマザーボード、ファンなどが半額近くになることもあるのだから、注目を集めないわけがない。
代表的な電気街のひとつが香港のSham Shui Poにあるマーケットだ。消費税のない香港ではなおさら安く購入でき、マイニングリグの組み立てを店の人に任せることもできる。REUTERSによると、シンガポールのSim Lim Squareにある店舗でも2,700万円相当の注文が入ったり、在庫が足りなくなったりと大繁盛の様子だ。近年パソコンの需要が少なくなった影響で売り上げが伸び悩んでいた店にとって、仮想通貨ブームは大きなビジネスチャンスになっている。
香港の店によると客の多くはロシアから来ており、他にも西ヨーロッパ、アフリカ、韓国からの客がいるという。ロシアは電気代が比較的安く、寒い気候がマイニングマシンの冷却に適しているため人気となっている。一方、シンガポールの店によると、ロシアからはもちろんのこと、ベトナム、マレーシア、インドネシアといったオペレーションコストが安い近隣諸国からの客もいるそうだ。
個人からの需要も高いマイニングだが、個人でその採算をとることは難しいと言われている。初期コストだけでも数千ドル以上かかり、さらにマイニングは大量の電力を消費する。すでに大規模なマイニングファームによる寡占化も進んでおり、その中でいち早く計算を解きマイニングの報酬を得ていくのは容易ではない。専門家によると、事例証拠から見て平均的なマイナーは約3か月で利益が出るが、個人宅で行うような小規模な設備ではそれ以上かかる可能性もあるとされている。
そうした状況にも関わらず、個人を含む多くの人々がマイニングに魅力を感じている背景には仮想通貨マーケットの爆発的な普及がある。些細なマイニング報酬であっても、仮想通貨マーケットの拡大が報酬の価値を底上げしてくれるという期待が人々をマイニングへ誘っている。もちろん、市場が暴落すればマイニング用機材の需要は大きく落ち込むだろう。先行きが見通せない世界だが、業界関係者は自信満々に明るい未来を思い描いている。「ビットコインがまた値上がりすれば、世界中からメールや電話が殺到するに違いない」とシンガポールで機材を売る商人は語る。
【参照サイト】Cryptocurrency Miners Flock to Asia’s Malls for Cheap Crypto-Mining Rigs
木村つぐみ
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