マーシャル諸島共和国で、国家としては世界初の、DAO(自律分散型組織)を法人として正式に承認する法改正が可決された。
これはDAOに従来から存在する会社形態であるLLC(リミテッド・ライアビリティ・カンパニー)と同等の権利を与えるという非営利団体法の改正であり、現実の不動産の保有までも可能にするものだ。
DAOとは、スマートコントラクトにより稼働している自律型組織であり、ブロックチェーン上に保存されたスマートコントラクトにより報酬の分配等が定義されている。DAOにより発行されたネイティブトークンを保有することで、スマートコントラクトや運営方針の提案および投票の権利を得ることができ、組織の運営に参加することが可能だ。
過去には、2021年4月21日に米ワイオミング州がDAOを法人として認める法案を可決しており、約3か月後の7月4日に「American CryptoFed DAO」が登記を完了している。しかし、国家がDAOを法人として正式に承認する法案を可決したのは世界で初めての事例となった。
マーシャル諸島共和国では、DAOは個別にLLCを登録する必要がなく、これにより意思決定を真に分散化することを可能にしている。そのため、様々なDAOがマーシャル諸島を潜在的な所在地として選択するようになることが推測されており、DAOの新規ユースケースの開発などにも力を入れるという。
また、DAOがマーシャル諸島内で登録するのを支援するために、MIDAO Directory Services Inc.が設立されており、同国内初のDAOであるAdmiralty LLCの法人化を支援した。
マーシャル諸島共和国の元主席秘書官であり、MIDAOの共同創設者であるBobby Muller氏は「DAOはより効率的であり、階層の少ない組織を設立するうえで重要な役割を担う」と言及している。
マーシャル諸島共和国は、以前からブロックチェーン分野への取り組みに力を入れており、今回の法改正が最初の動きではない。2019年にはソブリンという独自のブロックチェーンを使ってデジタルソブリン(SOV)という通貨を発行する法案が可決しており、ブロックチェーンや暗号資産に先進的に参入している国家の一つとして注目されている。
【参照記事】How the Marshall Islands Is Trying to Become a Global Hub for DAO Incorporation
株式会社techtec リサーチチーム
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