ルルレモン、同社初の酵素リサイクルと回収炭素を活用したポリエステル製品発表。サムサラ、ランザテックと協業

カナダのスポーツ衣料品メーカーのルルレモン・アスレティカは4月3日、酵素リサイクルしたポリエステルと回収炭素を用いた、同社初となるパッカラブル仕様のアノラックジャケットを発表した(*1)。

今回の発表は、繊維to繊維リサイクル(#1)とサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けたルルレモンの取り組みにおいて重要な節目となる。サムサラと提携し、世界初の酵素を活用したリサイクルナイロンを発表したのに続き、2030年までに環境にとって望ましい素材と使用済みソリューションで全製品を作るという目標達成にまた一歩近づいた。

限定版となる同アノラックジャケットは、バイオ加工技術を組み合わせて作られたポリエステルを特徴としており、ルルレモンの顧客が選好する軽量で速乾性に優れた素材と同じ肌触りと品質を提供する。

環境テックスタートアップの豪サムサラ・エコの酵素を用いたリサイクル技術と、炭素回収スタートアップの米ランザテックによって回収された炭素を活用した。

サムサラは、ルルレモンの製品や機能性アパレル業界の核となる合成繊維の混合物を分解する、酵素を活用した特許取得済み技術を有する。ランザテックは、産業施設から排出される炭素を回収し、ポリエステルの構成成分に変換することを専門に手掛ける。これらのイノベーションにより、ポリエステルの新しい生産方法が生まれた。

サムサラの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるポール・ライリー氏は「衣料品の廃棄に終止符を打つことは、気候危機への対応に不可欠である。私たちは酵素リサイクル技術を活用し、古い繊維から繊維を抽出して再利用することで、この問題に取り組んでいる」と述べた(*1)。

同アノラックジャケットの生産には、プラスチック系混合廃棄物、使用済みのルルレモンのアパレル、変換された二酸化炭素(CO2)などを活用している。サーキュラリティのためのデザインは、ルルレモンの製品開発の哲学の中核をなすものであり、新しい製品にリサイクルする前に、最高の価値を維持し、可能な限り長く最大限に使用することを目標としている。

ルルレモンの原材料革新担当バイスプレジデントを務めるヨーゲンドラ・ダンダピュア氏は「私たちのビジョンは、これらの技術を拡大し、サプライチェーン全体で繊維廃棄物に対処することだ」と述べた(*1)。

(#1)繊維to繊維リサイクル…使用後繊維製品を原料とした繊維から繊維への水平リサイクル。

【参照記事】*1 ルルレモン「lululemon Introduces First Enzymatically Recycled Polyester Product

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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