スイスのプライベートバンク、ジュリアス・ベアは2月26日、SEBA Crypto AG(以下、SEBA)への出資および、SEBAとの提携による暗号資産サービスの提供開始を発表した。
ジュリアス・ベアは、スイス証券取引所への上場も果たすプライベートバンキング専業大手だ。スイスのチューリッヒ本社を中心に、ドバイ、モナコ、シンガポール、香港、東京など世界50か所以上の拠点をもつ。ジュリアス・ベアは、暗号資産と法定通貨の両者を扱う金融サービスの提供を目指すSEBAに対して、2018年のアーリーステージで経営権を獲得しないマイノリティ出資を行っていた。
SEBAは、KYC(Know Your Customer:顧客確認)が完了した暗号資産と法定通貨の取引サービス、暗号資産のカストディサービス、暗号資産と伝統的な株式商品の資産管理、暗号資産のコーポレートファイナンスサービスなどの提供を目指すプロジェクトだ。ジュリアス・ベアは、デジタル資産に対する需要の増加を受け、SEBAのプラットフォームを活用し、デジタル資産の保管や取引、投資サービスにまでサービス範囲を拡大する考えだ。
金融業界では、仮想通貨ビットコインの基盤技術であるブロックチェーン技術に対して、積極的に取り組みを見せる企業も多い。その一方で、法律や規制の妨げも多く、暗号資産サービスの提供には足踏みしてきた。最近では、JPモルガンが独自の通貨発行を進めるなど、銀行によるデジタル通貨への取り組みも始まっている。ジュリアス・ベアの取り組みをはじめ、金融機関の参入は、仮想通貨市場にとっても需要の増加に繋がるプラス材料となるだろう。今後の新たなサービス拡大に期待したい。
【参照記事】 JULIUS BAER ENTERS PARTNERSHIP FOR DIGITAL ASSET SERVICES WITH SEBA CRYPTO AG
【参照記事】SEBA公式サイト
立花 佑
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