IFCとHSBCアセット、新興市場向けサステナブル債券ファンド立ち上げ。金融へのアクセスを拡大し、持続可能な成長を支援

世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とHSBCアセットマネジメントは10月2日、新興市場の企業および金融機関が発行する上場債券に投資するファンドを設立すると発表した(*1)。同ファンドの立ち上げを通じて、金融へのアクセスを拡大し、持続可能な成長を支援する。

今回組成するファンドは、既存のHSBCグローバル・エマージング・マーケット・コーポレート・サステナブル・ボンド・ストラテジーをサポートし、新興市場の企業および金融機関が発行する上場債券に投資する。

持続可能性の観点では、欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく9条ファンドに該当する。9条ファンドは、EUのESG(環境・社会・ガバナンス)規則で最も厳しい基準となる。

IFCの産業担当バイスプレジデントを務めるモハメド・グールド氏は「発行体レベルでのサステナビリティと透明性に重点を置くSFDR9条に準拠することで、HSBCの社債戦略は持続可能なビジネスの成長を支援し、グリーン化を加速させるだろう。弊社の投資により、さらに多くの機関投資家が参加し、新興市場におけるサステナビリティ関連の取引に特化する資本プールが増加することが期待される」と述べた(*1)。

IFCとHSBCアセットの提携は、持続可能な技術や社会への影響といった主要分野への投資を通じて、新興市場における持続可能な成長とインパクトをさらに拡大することを目的としている。

新興市場は世界の人口の80%以上を占めているが、世界の金融市場におけるシェアは遥かに小さい。持続可能な未来への移行を促進し加速させるためには、多額の投資が必要である。

HSBCグローバル・エマージング・マーケット・コーポレート・サステナブル・ボンド・ストラテジーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する新興市場における企業の債券および関連証券に投資する。これにより、ESG分野のポジティブな変化と測定可能なインパクトをもたらすことを目指している。

新興市場の発行体の資金調達ギャップの解消にも貢献する。IFCは1億ドルのアンカー投資(ファンドへの大口出資)を提案することで同戦略を支援する。

IFCの支援は、新興国投資における豊富な経験、ESGおよびサステナビリティ分野におけるリーダーシップ、新たな資産クラスの確立における実績を活かし、機関投資家の参入を支援することを目的としている。

新興国市場の各国がSDGsやパリ協定の公約を達成するためには、民間資金の増加が必要である。今回のイニシアティブは、新興国市場の社債投資におけるSDGsの目標を支援する第三者の資本参加を増やすことを目的としている。

【参照記事】*1 IFC「IFC and HSBC Asset Management Expand Partnership to Support Sustainability in Emerging Markets

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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