金融サービスの五常・アンド・カンパニー株式会社は2月5日、株式会社クレディセゾンとの間で900万ドルの融資契約に合意したと発表した。五常・アンド・カンパニーはカンボジア・ミャンマー・スリランカ・インドに拠点を置く7つのグループ会社を通じ、金融包摂の実現に寄与する金融事業を行っている。今回の融資は、日本法人でホールディングス・カンパニーである五常社が借主となり、調達資金をグループ会社間の貸付に用いる。
貸付を受けたグループ会社は、調達資金を零細企業向けの小口融資に活用する。小口融資の借入人の95%以上は零細事業を営む女性といい、融資資金は零細事業の運転資金、または設備投資に充てられる。
新興国の商業銀行にとって、マイクロファイナンス機関は主要融資先の一つに挙げられる。また、欧州を基盤とするインパクト投資ファンドや財団などが経済的・社会的インパクトの実現を目指してマイクロファイナンス機関向けの融資を行っている。一方、日本の金融機関の参入は未だ多くない。
今回の融資よって、五常社が日本の金融機関と新興国のマイクロファイナンス機関の橋渡し役の役割を担うことで、日本の金融機関は審査とモニタリングに係るコストの軽減が可能になる。また、同社は各国の市場環境を熟知しており、「情報提供の観点からレンダー向けに利息以外の付加価値を提供出来る体制が整っている」と優位性を挙げる。クレディセゾン社とは、融資契約のほか事業連携の可能性も探っていく方針。
五常・アンド・カンパニーは2014年7月に設立。廉価で良質な金融サービスを2030年までに50カ国1億人以上に届けることを目指す。創業5年でカンボジア・スリランカ・ミャンマー・インドのグループ従業員は3千人、顧客数は50万人を突破。融資残高はOff-Balanceしている債権を含め300億円を超えており、17年度より連結黒字化している。
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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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