英電気自動車(EV)充電スタートアップGaussionは8月12日、シリーズA(資金調達ラウンド)で1,200万ドル(約17億6,000円)を調達したと発表した(*1)。今回の資金調達を受け、製品の製造・販売に加え、他の用途への技術供与の可能性も視野に入れる。
今回の投資ラウンドは、自動車業界に特化したベンチャーキャピタルであるオートテック・ベンチャーズが主導した。既存投資家のBGF、AlbionVCが運用するUCLテクノロジー・ファンドも参加した。
オートテック・ベンチャーズの共同創業者兼マネージング・ディレクターのアレクセイ・アンドレフ氏は「Gaussionは外部磁場を適用することで、コアコンポーネントを変更することなく、既存のバッテリー技術の性能を向上させる。(同社の技術を活用することで)様々な市場に大きなチャンスがあると考えている」と述べた(*1)。
充電速度は、EVの大量導入を図る上で克服すべき重要な課題のままである。従来の電気化学的手法による急速充電は本質的に予測不可能であり、セルを損傷することが度々起こる。固体電解質などの次世代技術は、何度も導入目標を下回ってきた。一方、EVの購入者は、高速充電などにおいてガソリン車並みの利便性を求めており、自動車メーカーは新たな解決策を必死に模索している状況だ。
Gaussionは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のスピンオフ企業である。充放電サイクル中に外部磁場を利用してバッテリー性能を向上させ、既存のバッテリーセル内のイオンを誘導することで急速充電を可能にするMagLiB技術を開発した。磁場はセルの劣化を抑え、バッテリー寿命を延ばせる。
MagLiBを活用することで、平均的なEVドライバーの1週間分の充電(200マイル)が10分以内でできるバッテリーを製造でき、1,000回以上の充電後も寿命と保証基準を維持する急速充電バッテリーを実現する。
同技術はLCOやLFP、NMCに加え、今後使用される可能性のあるあらゆるセルケミストリーに適用することができる。費用対効果の高い急速充電バッテリーは、EV充電のゲームチェンジャーになり得る。
MagLiBは、輸送の電化、建設機械、採鉱作業、住宅用エネルギー貯蔵、ユーティリティ規模のエネルギー貯蔵など、幅広い用途に有望な技術だ。
Gaussionのトム・ヒーナン最高経営責任者(CEO)は「多くの用途で、バッテリー性能の上限を引き上げるコストのために、急速な電動化への取り組みが遅れたり、妨げられたりしている。磁気増強は、あらゆる化学物質、形式、用途で段階的な改善をもたらし、コストや性能で妥協することなく、手頃な価格で電動化を実現できる」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 PR Newswire「GAUSSION RAISES $12M TO REVOLUTIONIZE BATTERY CHARGING」
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