株式会社みずほフィナンシャルグループは4月15日、「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」を公表した。2019年に策定した方針を、社会情勢や責任銀行原則を踏まえた取り組みをさらに進めるため改定した。強化課題として環境・気候変動への取り組み、サステナブルビジネス推進、気候変動リスク管理の3項目を掲げる。
三井住友フィナンシャルグループも4月16日、「ESGに関するリスクの考え方について」とする方針を発表。環境や社会へ大きな影響を与える可能性が高い事業・セクターについて、グループの主要子会社である三井住友銀行、SMBC、日興証券、三井住友ファイナンス&リース、SMBC信託銀行において、それぞれの事業に沿う形で導入する。この中で、世界的な潮流となっている脱炭素に向けた施策として、みずほFGは「石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資等は行わない」、三井住友FGも「新設の石炭火力発電所への支援は原則として実行しない」と明記した。みずほFGは6月、三井住友FGは5月から適用する。
みずほFGは、サステナブルビジネス推進強化に関連して、環境保全や SDGs 達成に向けた資金の流れをつくる役割を積極的に果たしていくため、サステナブルファイナンス・環境ファイナンスの目標を設定。2019 年度~2030 年度累計25 兆円(うち環境ファイナンス12兆円)とした。石炭火力発電所の新規建設を資金使途とするファイナンスを行わないほか、石炭採掘セクターの追加、石油・ガスセクターにおける移行リスク対応の確認追加等の改定を行い、石炭火力発電所向け与信残高を削減する定量目標として、石炭火力発電所向け石炭火力発電所の融資残高を30年度に半減、50年度までにゼロを目指す。20年3月末の融資残高は約3000億円。
一方、三井住友FGは新設の石炭火力発電所への支援は「原則として実行しない」が、「超々臨海圧などの環境へ配慮した技術を有する案件、および改訂前より支援している案件については慎重に対応を検討する場合がある」と幅を持たせている。また二酸化炭素回収・貯蓄(CCS)などカーボンリサイクルに資する技術開発を支持する。ほか、水力発電、石油・ガス、炭鉱採掘、タバコ製造、自然保護地域、パーム油農園開発、森林伐採、クラスター爆弾やそのほかの殺戮兵器の製造を対象事業とし、融資の際は循環社会リスク評価などを実施する。このうち、炭鉱採掘では、環境負荷の大きな山頂除去採掘方式で行われる新規の炭鉱採掘事業に対しては支援を行わない方針だ。
石炭火力発電所への新規融資については株式会社三菱UFJフィナンシャルグループも2019年5月に原則として実行しない方針を表明している。
【参照リリース】株式会社みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティへの取り組み強化について ~脱炭素社会実現に向けたアクション強化~」
【参照リリース】三井住友フィナンシャルグループ「ESGに関するリスクの考え方について」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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