マネーロンダリング防止やテロ資金供与防止に関しての取り組みを議論・推進する多国間組織、金融活動作業部会(FATF)が6月に開催した総会にて、日本の財務省・金融庁が主導して「暗号資産版SWIFT」を創設する計画が承認された。国内外の業界団体や専門家が連携して技術開発に取り組み、数年以内の稼働を目指すという。ロイターが18日報じている。
6月のFATF総会では、加盟国の法制度に拘束力をもつ「FATF勧告」について、仮想通貨交換業者や保管業者に適用することで最終合意した。同勧告は、仮想通貨を国内外の交換業者を経由して送金する際に、送金元と送金先の交換業者が顧客情報を即時に共有し、必要に応じて当局も共有できる体制を義務付けた。ロイターによると、この規制は送金の度に業者間での顧客情報のやり取りが発生しそれをメールでやり取りするには取引が多過ぎると、業界で波紋を呼んでいるという。
各国はFATF勧告を受け国内での法整備が必要になる。しかし、各国が法整備を直ちに実効的なものにするには難しく、その代案として暗号通貨版SWIFTの創設が提唱されたという。ロイターによると、交換業者が同ネットワークに参加することで、交換業者間での仮想通貨送金の際、個別に対応しなくて済むグローバルなシステムの構築を目指すことが報じられている。
暗号資産版SWIFTを提案するにあたり、モデルとなった国際銀行間通信協会(SWIFT)は世界最大の金融メッセージングシステムだ。現在では、あらゆる国際決済がSWIFTを通じて行われている。
仮想通貨によるマネロンとテロ資金供与の対策のために、世界共通の規制や対応が進められているが、本来誰にも管理されることのない仮想通貨が「ルール」に縛られることを歓迎する声ばかりではないだろう。だが、仮想通貨業界の透明性を図り、市場の健全化に繋げるためにはこうしたシステムの構築は必要不可欠だろう。今後の動きに注目だ。
【参照記事】暗号資産版SWIFT創設へ、国際送金時の個人情報共有=関係筋
【参照記事】日本主導で「暗号資産版SWIFT」創設へ
立花 佑
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