昨日のマーケットは世界から注目されていたFOMCが公表され、予想通り3会合連続で0.75%の利上げを決定しFF金利誘導目標を3.00%-3.25%に設定した。
しかし先行きの経済見通しや利上げ予想が引き上げられたことにマーケットは反応し、政策金利発表直後は予想通りだったことから株高で反応したものの、一転急落する展開となった。
パウエル議長の発言では仕事を完了するまでやり続けるとインフレ抑制に対して強い決意を持っていることをマーケットに伝えた形となり、インフレ率の2%回帰を約束するとも述べていることから、マーケットはタカ派として捉えた様子。
利上げ見通しも引き上げられることとなり、年末までにあと1.25%の利上げが行われるという予想に変化していることから、あと年末まで2会合残っている中、再度0.75%の利上げを行うという方向性に変化してきていることや、来年年末の政策金利も4.6%まで予想が引き上がっている状況はポイント。
ソフトランディングの可能性に関しても難しいことを示唆しており、労働市場や経済が痛みを伴い景気後退に陥る可能性も否定していないことを述べている。
マーケットはNYダウは政策金利発表直後に31,000ドルまで上昇したが一転急落して30,183ドルまで下落して引けており、10年国債の金利も3.60%まで上昇後3.50%まで低下、一方で2年国債は4%を突破する動きとなったことからドル高方向で推移している。
しかしドル円は思った以上に上昇しておらず、144円台前半での推移となっており、一時143円まで下落する場面も見られたことは少し違和感を感じている。
本日の日銀政策会合を前にして円買い圧力が強まっており、一旦ポジション調整を行なっておこうとする動きが強まっていることが示唆される。
マーケットでは日銀のレートチェック以降に円高警戒感が強まっている中オプション市場でも円コールオーバーに傾いてきており、年末までの円高に備える動きも見られ始めたことはポイントか。
対欧州通貨に関してはユーロドルやポンドドルが大幅下落しており、欧州通貨はかなり弱い地合いとなっているものの、本日イギリスのBOEが政策会合を行うためどのくらいインフレ抑制に力を入れるのか注目したい。
日銀政策会合に関しても大方の予想は緩和継続で動きなしというところではあるが、アメリカがタカ派路線に傾いていることから、日銀が何もしないということが本当にあるのかどうか個人的には半信半疑なところ。
昨日はロシアでプーチン大統領が部分的動員令に署名したことを受けて、欧州通貨が反応しており、ロシア国内でも国外に退避しようと飛行機が売り切れるという事態になっていることも注意しておきたい点。さらにウクライナとの戦争を加速させる動きが強まっているため、まだ地政学リスクが収まるという気配はないか。
仮想通貨市場はFOMCでの株安を受けてビットコインも下落する動きとなり、一時19,000ドル台後半まで上昇したものの、一転18,000ドル台後半まで下落。
しかしそこまで値幅が出ているわけでもなく、今後の動向は株安が継続するとなったらビットコインは再度下落すると考えた方がいいだろう。どのあたりで大口のクジラと呼ばれる投資家たちがギブアップするのかは注目したいと考えており、大口の投げ売りが出てしまうとビットコインはさらに深掘りする可能性がある。
仮想通貨市場での特有のニュースがプライスアクションに大きく影響を与えるということは最近はあまりなく、個別要因でたまに動くものの、今はマクロ経済が重要な状況のため、アメリカの動向に仮想通貨投資家も注目すべきだろう。
ポジションは朝方NYダウのショートを構築しており、一旦レンジが切り下がるという予想をしている。
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中島 翔
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