ビットコインマイナーは5月末の1週間に採掘されたビットコインの総量を11%上回るほどの大量売却を行っている。6月1日付でCointelegraphが報じている。通常、マイナーの採算性悪化はネットワークを脅かすが、専門家によるとビットコインはより強固な基盤を形成しようとしているという。
ByteTree社がまとめたブロックチェーンデータによると、過去7日間のビットコイン採掘量(約5,800 BTC)を上回る6,500 BTC以上で「First Spend(初回取引)」が観測された。ビットコインのプロトコルでは、ビットコイン報酬はマイナーのウォレットにマイニング報酬というかたちで付与される。採掘プールでブロッグが生成された場合は、ある時点でハッシュレートの貢献者に分配されるか、換金のために仮想通貨取引所に送られる。ByteTreeはこれらのトランザクションを追跡してマイナーによる売却量を集計している。
5月12日にビットコインが半減期を迎えると、ハッシュレート(マイニングをする際の計算速度)は最大30%低下し、ブロック生成時間は遅延し、取引手数料が高騰するなど、ビットコイン・ネットワークに様々な影響を及ぼした。マイニング報酬が半減したにもかかわらず、ビットコイン価格は上昇していないことから不採算マイナーがマイニングマシンを停止させたと見る声も多い。
しかし、大手採掘プールであるF2Poolの事業責任者トーマス・ヘラー氏は、2020年現在においてマイニングファームが廃業するケースはほとんどないと語っている。中国、北米、欧州のマイナーはAntminerS9など採算ラインから外れた旧型のマイニングマシンを、より電力コストが低いカザフスタンやロシア、中東、南アフリカ地域に売却することで凌いでいるという。
こうした行動はビットコインネットワークの分散性を高めている。ケンブリッジ大学の調査によると、2019年9月から2020年4月にかけて、ビットコインのハッシュレートにおける中国シェアは75.63%から65.08%に下落した。一方で、上述のカザフスタンは1.42%から6.17%に増加している。
ブロックチェーンデータ企業Coin Metricsは6月14日、ビットコインのハッシュレートが半減期以前の水準に回復したことを報告しており、採掘難易度は6月17日に約14.81%増加する見込みだ。ハッシュレートと採掘難易度はビットコインの採掘コストの指標とされ、BTC価格のファンダメンタルズとして注目されている。
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