アクサIM、気候変動対策の観点から企業を4つに分類しエンゲージメントや投資撤退を判断

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資産運用大手のアクサ・インベストメント・マネージャーズは11月8日、気候変動に関するエンゲージメントおよびスチュワードシップ方針を強化したと発表した。気候変動対策で出遅れている企業からの投資撤退を視野に、石油・ガスセクターについて、環境への悪影響を抑えるために新たな投資除外方針を導入。また、持続可能な戦略への移行を促進するため、気候変動ソリューションへ意識的に資本配分を強化する。さらに、2050年までにアクサIM自身がネットゼロの投資家/事業会社になるためのコミットメントを掲げる。

2022年から、投資判断における環境への考慮を一段と強化する。影響力の大きい企業および発行体を分類するカテゴリーに応じて、「クライメートリーダー」「トランジションリーダー」「トランジション・ラガード(移行で出遅れている企業)「クライメート・ラガード(気候変動対応で出遅れている企業)」の4つの異なるアプローチを採用する。

クライメートリーダーは、1.5℃の世界への移行を可能にする気候変動ソリューションを提供している企業。または、すでに低カーボンフットプリント(二酸化炭素の総排出量)を達成し、気候および環境慣行で業界最高水準にある企業。アクサIMは投資を継続し、リーダーシップ維持を支援する。トランジションリーダーは、炭素削減に関して優れた実績を有する、または測定可能な目標を備えた正式な改善道程を持つ企業。同社は「成長機会を有し、投資家に対して長期的な価値を提供するトランジションリーダーの特定に引き続き全力で取り組む」としている。

対して、トランジション・ラガードは、気候変動問題を認識してはいるものの、具体的な移行の道程を明確に示していない企業であり、同社は投資およびエンゲージメントを継続し、年次株主総会(AGM)での議決権行使などを通じて、移行の加速を促す。クライメート・ラガードは、「気候変動問題に真剣に取り組んでいない企業」と判断し、明確な目標を設定し、25年までの3年間の企業の行動を監視する。ネットゼロへの道程の進捗が不十分な場合、「3ストライク、アウト」原則を適応し、投資撤退を行う。投資撤退させた資本については、クライメートリーダーやトランジションリーダーへの投資を検討する意向だ。

石油・ガスセクターの投資方針では、除外基準を先鋭化させる。地球温暖化問題でネガティブな資源とされるオイルサンドに対しては、総生産量の5%超がオイルサンドの企業を除外するとした。ほか、北極圏監視評価プログラム(AMAP)地域で展開される石油・ガス採掘活動を除外。具体的には、総生産量の10%超をこの地域からあげている企業を今後除外する。シェール/フラッキング(水圧破砕)に関しては、総生産量の30%超の小規模企業を除外する。これらの新たな規制は22年初めに導入予定。

アクサIMは、50年までにネットゼロ企業となるため、自社のカーボンフットプリント(二酸化炭素の総排出量)削減に向けて一連の対策を導入しており、対策として①現在の当社のカーボンフットプリントの特定とオフセット(相殺)を通じ、CO2消費量を測定することでカーボンニュートラルを目指す②25年までにCO2排出の25%削減目標(19年対比)を既に設定しており、ネットゼロに向けてさらにCO2消費量を削減③カーボンオフセット取引プラットフォーム)のノウハウを活用し、オフセットソリューションを通じて残りのCO2消費の除去を掲げた。

「当社はアクティブ運用の資産運用会社として、確信に基づいた行動と資本配分によって投資先企業の行動に影響を及ぼすことができる。当社の受託者責任は、顧客にリターンを提供することだけでなく、責任投資や気候変動対策のけん引も担う。投資判断、商品ラインナップ、エンゲージメントや議決権行使、事業運営方法で、当社はリターンと世界の長期的な持続可能性のバランスが取れるように行動を起こす」と同社は表明している。

【関連サイト】アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社

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